ホルモンかく乱物質は 生物に影響を与えるのか?2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・爬(は)虫類
 
 爬虫類では各地で数の減少や生殖器の異常が報告されています。
 環境汚染によって、生息するワニの個体数が減少し、陰茎の大きさが異常に小さくなったことで有名な湖に、フロリダのアポプカ湖があります。

ここに住むワニ、アメリカアリゲーターは繁殖のためには陰茎が小さく、また卵から孵化する割合も小さいことが知られていました。

また雄の血液を調べると男性ホルモン濃度が低く、女性ホルモン濃度が高いことが知られています。

この原因は事故で湖に流入した大量の有機塩素系農薬が原因であると考えられています。
 
 この問題はアポプカ湖に限られていると考えていました。

しかし、最近、アメリカアリゲーターの問題は、アポプカ湖に限らず南フロリダ全体の問題になってきました。
 ある湖は多数の農薬で汚染されており、ワニの体重が減少したことが知られています。

フロリダの最大の湖オーケーチョビー湖では、若いアリゲーターの血中性ホルモンレベルが正常よりかなり低いことが知られています。

これは農薬によるホルモンかく乱の兆候と考えられています。
 
鳥類
 
 北米の五大湖は、1960~1970年代に、有機塩素系化学物質により高度に汚染されました。

汚染レベルは低下していますが、まだ汚染は重大な問題として残っています。
 
 五大湖に住むへリングカモメの激しい減少が、1979年代に起きました。これらの減少は生殖能力を持った雄カモメの減少によることがわかりました。雄の精巣の構造が卵巣に似てきました。

その後の研究で、卵の中には、雄カモメで精巣の異常を引き起こすのに十分なDDTとDDEが含まれていることが分かりました。

おそらくこの汚染物質の女性ホルモン様作用によって影響が引き起こされていると考えられています。
 
 有機塩素系殺虫剤が使われると同時に、多くのワシ類や魚を補食する鳥類で卵の殻が薄くなったことが分かりました。の殻が薄くなることにより孵化が減少し、個体数も減っていきました。これはDDTの代謝物DDEによるものと考えられています。
 
 現在では卵殻が薄くなることは稀になってきましたが、繁殖に関して別な問題がまだ残っています。
 
 五大湖のヒメウの仲間では、現在でも、くちばしが交叉している個体や眼がない個体、骨格奇形などが見つかっており、さらに浮腫や行動の変化なども知られています。

この原因はダイオキシンやPCBなどのダイオキシンの受容体(Ah受容体)を介して影響を発揮する化学物質の汚染によるものと考えられています。
 
 オランダの南西部では鵜(鳥のウ)の繁殖が非常に悪いことが知られています。

孵化の失敗は卵殻が薄いことと胚の死亡率が高いことです。卵殻を薄くしているのはDDEであり、PCBは孵化の減少と繁殖がうまくいかないことに関連があるとされています。
 
ほ乳類
 
 1980年代中頃から海生ほ乳類(海に住むイルカやアザラシなど)が大量に死ぬ事件が起きました。

PCBや有機塩素型農薬のような残留性・生物濃縮性の汚染物質の体内レベルが高く、免疫系を弱め、感染しやすくなったと考えられています。

その結果、感染によって大量死したのではないかと考えられています。
 
 1988年にはドイツ・スェーデン・オランダ・イギリスで2万頭のアザラシが死にました。原因はジステンパーウイルスでした。

その後、実験で高レベルの有機塩素系化学物質を含む魚を与えると、アザラシの免疫系が抑制され、病気に対する抵抗力が弱まることが分かりました。

また、死亡したアザラシの体内の有機塩素量は生存していたものより高いことや、汚染が強い海域に住んでいたアザラシは、汚染が弱い海域のアザラシよりも、死亡率が高かったことが分かりました。
 
 1990~1992年には、地中海全域で大量のイルカが死にました。原因はウイルスであると考えられています。

死亡したイルカ体内のPCBレベルは正常なアザラシより高いことが分かりました。
 
 1980年代後期から1990年代初期にかけて、合衆国東岸でイルカが大量に死亡しました。

ここでも死亡したイルカ体内のPCBレベルが高いことが分かりました。

また、フロリダのイルカで、免疫抑制が強ければ血中のDDTやDDE、PCBなどの汚染物質レベルが高いことが報告されています。
 
 米国のフロリダ半島などに住んでいるフロリダパンサーは絶滅が危惧されています。

フロリダパンサーの調査では、雄のステロイドホルモンの異常が見つかっています。

ある個体では、男性ホルモン(テストステロン)の倍ものエストロゲンがあることがわかりました。

以前は、エストロゲンの3倍ほどテストステロンがあったといわれています。この原因は農薬などのエストロゲンの性質を持つ化学物質ではないかと疑われています。
 
 以上に自然界の変化を簡単に述べましたが、「これは自然界のできごとで、私たちは自然界の魚や両生類・は虫類・ほ乳類ではなく、環境汚染の驚異に対してうまく立ち回れるし、カエルや鳥類・イルカなどいなくとも生きていける」と考えることができますか?


runより:他の生き物が生きていけない世界で人間だけが生き残れるとはとても考えられませんね。

自然にとって役割を持つ生物はとても多いというのに・・・