農薬分解酵素パラオクソナーゼの遺伝的個人差3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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以上の結果から、192番目のアミノ酸について、対立遺伝子の一つでもアルギニンであれば、健康悪化傾向があることが分かった。

アルギニンが更に付け加わっても、その程度はアルギニンが一つよりも更に悪くなることはない。

55番目のアミノ酸変異による健康悪化傾向は、両方がロイシンになった時のみ見られる。

55番目と192番目のアミノ酸変異によるこの悪化傾向は、それぞれ独立した現象であると考えられている。
 
ダイアジノンオクソン加水分解能力低下と関連するパラオクソナーゼ192多形性は病気を報告している人で、55部位でのLL多形性を訴えた人と同様に、より多い。

病気を訴えている人にはダイアジノンオクソンの加水分解活性が低い人が多い。
  以上チェリーら(2002)の結果は、パラオクソナーゼの遺伝子型と、羊浸しをした人の病気になりやすさが関連していることを示す。
 
パラオクソナーゼ活性の多様性
ファーロングら(2006)は有機リン多用使用地域であるカリフォルニア州サリナスバレー出身のラテン系母親および新生児の集団で、有機リン殺虫剤感受性の予知因子としてのPON1状態を測定することが目的である。

130人のラテン系妊婦および彼女らの新生児でPON1状態を調べた。
 
新生児でPON1レベルは26倍の変化があり、母親では14倍の開きがり、平均で新生児のPON1レベルは母親より4分の1であった。

新生児の平均PON1レベルは人間のPON1Q192またはPON1R192を発現した遺伝子組み換えマウスで報告されているhPON1レベルと匹敵し、クロルピリホスオクソンおよびダイアゾオクソンに対する相対的感受性の予知を可能にした。

同じラテン系集団の母親と子どもの感受性の予想される範囲はダイアゾクソンで65倍で、クロルピリホスオクソンで131倍から164倍であった。

概してこれらの発見はこの集団で多くの新生児と一部の母親がPON1状態によって特定の有機リン農薬被ばくの悪影響に一層影響を受けやすいであろうことを示している。

特別に懸念されることは低いPON1状態の妊婦および新生児の被ばくであると述べている(4)。
 
これらのことは慢性疲労などの過敏性は、化学物質過敏症といわれる症候群の症状の一部とも関連しており、遺伝的素因と環境との関連を一層注意していかなければならないことを示す。
 また、毒性の目安として動物実験結果が使われるが、実験動物はほぼ均質な遺伝型を持っており、それを不均質な人間に直接当てはめることができないことを示している。
  また、ギリシャで農薬(有機リンや有機塩素剤)被ばくやパラオクソナーゼの多形性を調べた研究で、特定のパラオクソナーゼ遺伝子を持たない場合は高血圧に有意に関係すると報告されている (5)。