・3)眼精疲労との関係
長時間パソコンの作業に携わる人に、何ともたとえないような眼の疲れを起こすことがあります。
眼精疲労と呼ばれますが、これもまた慢性的な肩こりと深く関係しています。
眼精疲労は単に仕事のし過ぎと片づけられがちですが、症状が進むと頭痛や吐き気、眼の痛み、全身倦怠感などのいわゆる「肩こり症候群」の原因となり得ます。
眼精疲労は長時間のデスクワークにより眼と首すじ、肩周辺に筋肉疲労が蓄積されたところに、ディスプレーの設定や姿勢、室内の作業環境の悪化(空気の汚染や乾燥)が原因で「ドライアイ」やストレスが重なることによって起こります。
眼精疲労がふつうの疲労と違うのは、症状を訴える人の多くが強い精神的ストレスを感じている点です。
これは仕事上のストレスの他に、パソコンを使う時に常に高い集中力とミスを起こしてはならないという警戒心が働いているためと考えられます。
いくら休養をとってもあまり効果がなく、正しい治療や養生を行わないと深いな症状がなかなか回復しないことも特徴の一つです。
眼精疲労は慢性的な肩こり症候群の原因となる疲労病と言えそうです。
(runより:化学物質過敏症患者はよく眼精疲労と誤診されるので要注意です。)
4)頭痛と高血圧、頭痛と脳卒中
内科を訪れる多くの方が、肩こりが原因の緊張型頭痛を高血圧が原因ではないかと心配されます。
実際、頭や首すじが重い、ふわふわするなどの肩こり症候群の時に、血圧を測ってみると上がっていることがしばしばみられ、倒れないかとびっくりして受診されます。
特に更年期前後の女性でこのようなことが多くみられます。
多くの循環器専門医は、ふつう高血圧は自覚症状を起こしにくいものと考えています。
高血圧が原因で頭重感を起こしたと考えるよりも、頭重感が続いたため不安感が強くなり、結果として血圧が上がったと考える方がよい場合があります。
更年期障害で苦しむ中年女性の高血圧にこのようなことがしばしばみられます。
中年女性の高血圧の治療が必要ないと言っているわけではありません。
むしろこうしたきっかけで高血圧が発見できたのなら幸運と考えるべきでしょう。
更年期障害や肩こり症候群が軽くなってくると、血圧も安定して薬が不要になることもしばしば経験されます。
外来だけの血圧測定では回数も少なく、不安定なことが多く、高血圧と診断するためには自宅や職場でくり返して血圧を測定する必要があります。