・2)肩こり頭痛とは
筋肉の緊張(こり)が原因で起こる頭痛をここでは便宜上、「肩こり頭痛」と呼ぶことにします。
肩こり頭痛には首すじや頭部の筋肉の緊張(こり)が深く関係しています(緊張型頭痛)が、血管性頭痛や神経圧迫による症候性神経痛も関与することになり、複雑な痛みを感じることになります。
すなわち、「肩こり頭痛=緊張型頭痛+血管性頭痛+症候性神経痛」と考えることができます。
今まで「肩こり頭痛=緊張型頭痛」と考えられていましたが、それでは肩こりによる頭痛の際のズキンズキンする痛みや目の奥の痛み、後頭部の電気の走るような痛みの説明が困難です。
「肩こり頭痛」は3つの成分からできていると述べましたが、もう少し詳しく考えらていきましょう。
A.緊張型頭痛
その1は、筋肉の緊張(こり)そのものからくるもので、首すじや頭がしめつけられるような鈍痛や不快感を感じます。
このような痛みが「緊張型頭痛」といわれるものです。
典型的な緊張型頭痛は、きゅうくつな帽子をかぶったときのように頭全体がしめつけらるように鈍く重く痛みます。
首すじがこると、首すじから後頭部にかけてしめつけられるように痛みます。
筋肉の緊張(こり)による不快感や痛みが、血液の循環不全や神経反射を介して肩こりの悪循環を生じることはすでに述べました(1.肩こりに必要な知識-5)筋緊張の発生メカニズム)。
こうして緊張型頭痛は一日の中でも悪くなったり軽くなったりしながら何日も続くことになります。
頭や首すじがしめつかられるように重くだるくなると、ふわふわしためまいや吐き気を生じることになります。
B.血管性頭痛
その2は、こめかみがズキンズキンと脈打つように痛む血管性頭痛です。
血管性頭痛は頭皮の動脈(外頚動脈の枝)が拡張して痛くなるわけです。人間の頭皮は一皮むけば血管だらけです。
ここには交感神経(自律神経の一つ)が走っていて、ふだんは収縮させるように働きます。
この交感神経が一時的に麻痺すると、血管が拡張し、頭皮の一部分がズキンズキンと脈打つように痛くなります。
最近は、血小板から放出されるセロトニンなどの物質が、血管の収縮→拡張に深く関係していると考えられています。