・変異原性
アセタミプリド[27]やイミダクロプリド*に遺伝毒性があると報告されている。
*イミダクロプリドを見よ。
発癌性
チアメトキサムはマウスで肝臓癌を起こすことが知られている。
シェンジェンタの研究者らは、チアメトキサムが変異原ではなく、人間はマウスよりチアメトキサム代謝が遅いので、殺虫剤として使用するレベルでは発癌リスクはないとしている [28,29]。
体内への吸収
経皮吸収は低いことが、チアメトキサムで報告されている [1]。
経口投与では急速に吸収されることが、イミダクロプリドの動物実験で報告されている [1]。
イミダクロプリドは、ラットに投与した1時間後に様々に器官に分布していたが、脂肪組織や中枢神経系、骨の無機質部分には分布しない。
血液脳関門を越えにくい。その他のネオニコチノイドも血液脳関門を越えにくいと報告されている [1]。
代謝・分解
リンゴでクロチアニジンの半減期は5.9日、セイヨウナシで11.5日であると報告されている。[8]
主な代謝物は、6-クロロニコチン酸である。
ほ乳類ではいくつかの代謝物が知られており、脱ニトロ誘導体はほ乳類のニコチン性アセチルコリン受容体に選択的で、マウスの脳でニコチン性アセチルコリン受容体にニコチンと同じ親和性を持っている [1]。
排泄
イミダクロプリドの約70-80%は尿と糞中に非常に速やかに排泄される (Uroz et al, 2001)。
ラットでは投与した量の90%ガ24時間以内に、96%ガ38時間後に排泄される。
この内約75%が尿に排泄される。糞には約21%が排泄される。(Anon 1998)。 [1]
イミダクロプリドとその代謝物は水に非常に良く溶ける。
イミダクロプリドは酸性及び中性の水中では安定であるが、アルカリ性では容易に加水分解を受ける。蒸気圧は低い [1]。
不活性成分
北米農薬代替連盟 NCAPの報告書によると、製剤によって異なるがイミダクロプリド製剤中に同定された不活性成分には、結晶状シリカとナフタレンがある [6]。
・ 石英
石英は肺癌を起こし、石英は国際癌研究機構 IARC によって「人間の発癌物質」に、米国毒物計画 NTP によって「人間の発癌物質として知られる」に分類されている。
石英は肺気腫や閉塞性気道疾患を起こす。
また、人間と動物で遺伝障害を起こすことが知られている [6]。
・ ナフタレン
吸入により鼻腔癌を起こし、米国毒物計画は「発癌活性の明らかな証拠がある」としている。
ナフタレンは変異原性も示す。
ナフタレンによる障害には、貧血や肝障害、白内障、皮膚アレルギーなどが知られている [6]。
ネコのノミ駆除に用いた場合の不活性成分の毒性
イミダクロプリドを含むネコのノミ駆除剤を、指示量以上に子ネコの首の後に使用すると、有毒である。
推奨量の5倍を投与すると、死亡や昏睡、運動失調が子ネコに観察された。
この毒性は不活性成分によるものと考えられている。
製剤又は不活性成分を与えたネコでおう吐や流涎が観察されている [6]。
生態毒性
ミツバチの群崩壊症候群
2006頃からセイヨウミツバチが大量に失踪する現象が米国や欧州で発生している。更に日本でも類似の現象が岩手県で報告されている。
原因としては次のような様々なことが考えられている。
・ウィルス
・栄養失調説
・殺虫剤:ネオニコチノイドやイミダクロプリドなど
・遺伝子組み換え農作物説
・ミツバチへのストレス
ミツバチに対する毒性はネオニコチノイド間で差があることが知られており、クロチアニジンやジノテフラン、イミダクロプリド、チアメトキサム、ニテンピラムは毒性が強く、アセタミプリドやチアクロプリドは毒性が弱いと思われている (23)。
Girolami et al. (2009)は、ネオニコチノイド処理種子から育てたトウモロコシの葉から出る滴中のチアメトキサムやクロチアニジン、イミダクロプリドを検出し、その濃度は害虫駆除に使う濃度近くかそれ以上になると示た。
ミツバチがこれらの滴を摂取すると、数分以内に死ぬと報告した(25)。
Tremolada et al. (2010)によると、ネオニコチノイド処理した種子の播種日にミツバチの死亡が増加し、播種後に餌を集める数が減る。
トウモロコシの播種が重大な影響を与え、チアメトキサムが最も有毒な物質と考えている。
被ばく量を算出すると、ミツバチが播種した場所を飛翔している場合、チアメトキサムはミツバチの接触LD50近くになるという(24)。