・5. 被ばく・微量投与の影響
フェニトロチオンを0.042-0.33 mg/kg 体重あるいは1 人あたり2.5-2.0 mg の経口投与量で24人のボランティアに与えた。
尿中の代謝物3-メチル-4-ニトロフェノールの排泄は24 時間以内にほとんど完全であり、量の約70%(0.042 mg/kg)から50%(0.33 mg/kg)の範囲であった。
血漿あるいは赤血球コリンエステラーゼ(ChE)活性は6 時間と24 時間後に試験前のレベルの約65%であった。
0.04-0.08 mg/kg を繰り返して5 人に14 時間間隔で4 回投与した場合、代謝物の大部分は投与12 時間以内に尿に現れた。
第3 回と第4 回の投与後、赤血球ChE に上昇の傾向があった。
コリンエステラーゼ活性がハイチのフェニトロチオン使用労働者28 人中3 人で、1 週間の労働の終わりに有意に減少した。
散布者の尿中3-メチル-4-ニトロフェノールレベルは2.2-25.2 mg/lの間であった。
散布と直接接触のないフェニトロチオン労働者(重さを量る人と監督者)で、コリンエステラーゼ活性は正常対照値の75%以上より大きいままであり、尿中3-メチル-4-ニトロフェノールレベルは相対的に低かった。
散布作業から2 日間の休みの後にコリンエステラーゼレベルは改善し、代謝物の尿中排出は減少した。
散布された家の住人で、低濃度の3-メチル-4-ニトロフェノールレベルが1 日後尿中に検出され、少ないが定量可能なレベルが7 日後にも存在していた。これらの全ての例で、コリンエステラーゼ活性は正常対照値の75%以上であった。
イラン南部で1971 年8 月にマラリア駆除のために30 日間のフェニトロチオン室内散布が行われた。
その間に、害虫駆除作業員28 人と925 人の住民の集団の健康とコリンエステラーゼ(ChE)活性にをモニターした。
840 人の労働者で42 例の臨床症状を発見し、そのほとんどは非常に軽くて、労働者がシャワーを浴び休憩した後(2-3 時間)に治まった。
20 人の散布者のうち8 人はChEレベル低下を示し、散布液を作っていた1 人は酵素活性の重大な低下を示し、適切な治療後に再活性化した。995 人の住民中、15 人のみが非常に弱い訴え、即ちめまいと吐き気を報告した。