・香料による皮膚障害
(皆本2010)
香水がアレルギー反応を引き起こすことが以前から知られている(Bjornberg andHellgren 1975)。
強いアレルギー性接触皮膚炎を頻繁に起こす香料が28 種類あげられている(皆本2010)。香料ミックスの陽性率はパラフェニレンジアミンに次いで高く、化粧品アルルギーが疑われた人の9.2%で陽性であったという。
日本ではシンナムアルデヒド(=桂皮アルデヒド)陽性者がフレグランスミックス陽性者の中で31.6%であった。
天然香料ではラベンダーオイルやイランイランオイル、ジャスミンアブソリュート、カナンガオイル、白檀オイルなどは陽性率が高く、要注意である(皆本2010)。
これらの香料は色素沈着型化粧品皮膚炎を起こす。合成香料ではサリチル酸ベンジルが起こすことが知られている(皆本2010)。
ペルーバルサムは成分が種々の香料と重複するので香料アレルギーのスクリーニングに用いられ、日本の陽性率は4.6%である(皆本2010)
ゲラニオールなどでは非免疫性機序による接触蕁麻疹を起こす(皆本2010)。
第1 位ラベンダーオイル6.57%
第2 位パラフェニレンジアミン(ヘアダイ、毛染めの色素成分)3.21%
第3 位ラノリンアルコール(羊毛からとった油) 2.85%
第4 位バルサムオブペルー(香料)
第5 位1,3 -ブチレングリコール(保湿剤)
ラベンダーオイルの陽性率が高く、アロマテラピーの流行によるものではないかといわれている。
またEU の消費者用化粧品非食用製品科学委員会によると、次の香料が消費者のアレルゲンとして最も多く報告され、知られているという(独立行政法人環境再生保全機構2010)。
石けん中の香料が皮膚への刺激性を高めていることが指摘されている(末廣2009)。
アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎、接触皮膚炎の青年の罹患率ををデンマークのオーデン自治体の1501 人の学生(12-16 才)で横断研究をした。
アトピー性皮膚炎は21.3%(女子25.7%、男子17.5%)が経験していた。
1 年間に発症したのは6.7%、発症中であったのは6.7%であった。
吸入アレルギーは17.7%と推定された。
手の湿疹は9.2%、1年間の罹患率は7.3%、発症中は3.2%であり、女子に有意に多かった。
接触皮膚炎に罹患中の人は15.2%(女子11.3 %、男子2.5%)であった。
原因はニッケル(8.6%)と香料ミックス(1.8%)が多かった(Mortz et al. 2001)。