WHOファクトシート N° 322-2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・タスクグループの評価
2005 年10 月、WHO は、周波数範囲が0~100,000 Hz(100 kHz)のELF 電界及び磁界への曝露により生じるかもしれない健康へのリスクを評価するため、科学専門家のタスクグループを召集しました。

IARC は2002 年に、がんに関する証拠を調べましたが、このタスクグループは幾つかの健康影響についての証拠をレビューし、がんに関する証拠を更新しました。

このタスクグループの結論及び勧告は、WHO の環境保健クライテリア(EHC)モノグラフ(WHO、2007)に示されています。
タスクグループは標準的な健康リスク評価プロセスに従い、一般の人々が普通に遭遇するレベルのELF 電界に関する本質的な健康上の論点はないと結論付けました。

このため、以下では主に、ELF 磁界への曝露による影響を扱います。

短期的影響
高レベル(100 μT よりも遥かに高い)での急性曝露による生物学的影響は確立されており、これは認知されている生物物理学的なメカニズムによって説明されています。

外部のELF磁界は身体内に電界及び電流を生じ、非常に高い強度では、神経及び筋肉が刺激されたり、中枢神経系の神経細胞の興奮性が変化したりします。

潜在的な長期的影響
ELF 磁界曝露による長期的なリスクを調べた科学的研究の多くは、小児白血病に焦点を当ててきました。

2002 年、IARC はELF 磁界を「ヒトに対して発がん性があるかもしれない」と分類したモノグラフを公表しました。

この分類は、ヒトにおける発がん性の証拠が限定的であり、実験動物における発がん性の証拠が十分ではない因子を表わすのに用いられます(ELF 磁界以外の例としては、コーヒーや溶接蒸気が含まれます)。

この分類は、疫学研究のプール分析に基づいています。

プール分析では、居住環境での0.3~0.4 μT を越える商用周波磁界への平均曝露に関連して小児白血病が倍増するという、一貫したパターンが示されています。

タスクグループは、その後に追加された研究は、この分類を変更するものではないと結論付けました。
但し、疫学的証拠は、潜在的な選択バイアス等の手法上の問題があるために弱められています。

加えて、低レベルの曝露ががんの進展に関係しているということを示唆する、受け入れられている生物物理学的メカニズムはありません。

このため、仮にこのような低レベルの磁界への曝露によって何らかの影響があるとすれば、まだ知られていない生物学的メカニズムを通じたものであるはずです。

加えて、大多数の動物研究では影響は示されていません。

よって、全体として、小児白血病に関連する証拠は因果関係と見なせるほど強いものではありません。
小児白血病はかなり稀な疾病で、2000 年には、新たに発生する症例数は全世界で年間49,000 人と推定されています。

住宅内での平均磁界曝露が0.3 μT を超えることは稀で、そのような環境に住む子供は僅か1%~4%と推定されています。

磁界と小児白血病との間に因果関係があると仮定した場合、磁界曝露のせいで発生するかもしれない症例数は、2000 年の数値に基づいて、全世界で年間100~2400 人の範囲と推定されています。

これは、同年の発症率全体の0.2~4.95%に相当します。

よって、仮にELF 磁界が実際に小児白血病のリスクを高めるとしても、世界規模で考慮すれば、ELF 電磁界曝露の公衆衛生上の影響は限定的となります。
ELF 磁界曝露に関連するかもしれない、その他の健康への悪影響が数多く研究されています。

これらには、白血病以外の小児がん、成人のがん、うつ病、自殺、心臓血管系疾患、生殖機能障害、発育異常、免疫学的変異、神経行動への影響、神経変性疾患があります。
WHO のタスクグループは、ELF 磁界曝露とこれら全ての健康影響との関連性を支持する科学的証拠は、小児白血病についての証拠よりも更に弱いと結論付けています。

幾つかの実例(すなわち心臓血管系疾患や乳がん)については、ELF 磁界はこれらの疾病を誘発しないということが、証拠によって示唆されています。
国際的な曝露ガイドライン
短期的な高レベルの曝露に関連する健康影響は確立されており、これが2 つの国際的な曝露限度のガイドラインの基礎をなしています(ICNIRP、1998;IEEE、2002)。

現時点では、これらの機関は、ELF 電磁界への長期的な低レベルの曝露による健康影響の可能性に関連する科学的証拠は、これらの定量的な曝露限度を引き下げることを正当化するには不十分である、と見なしています。