ここから免疫系の活動が本格化します。
いろいろな免疫細胞の中でも、まずマクロファージと顆粒球細胞が風邪のウィルスを包み込み食べてしまいます。
さらに、別のNK細胞がウィルスに感染した体内の細胞を破壊し、マクロファージ細胞がその感染細胞を食べて掃除します。
また、マクロファージ細胞が、別のヘルパーT細胞にウィルス侵入の信号を発します。
ここまでの働きを「自然免疫」と呼び、生まれつき持っている免疫系で初期段階に発動される生体防御の免疫システムです。
次に、別の樹状細胞が体外から侵入した異物の抗原をT細胞が認識できるように部分的に加工してT細胞へ伝えます。
さらに、指令細胞であるヘルパーT細胞は、キラーT細胞に命令してウィルスと戦わせます。
体に高い熱が出て、咳も激しくなってくる時がこの状態です。
一方で、ヘルパーT細胞はウィルスに対抗する抗体をB細胞に指示して生産させ、B細胞にもウィルスを撃破させます。
この戦いでウィルスを制すれば、風邪が治ります。
それと同時に、T細胞とB細胞がこのウィルスの情報を記憶して、再侵入してきた際に備えます。これらの働きを「獲得免疫」と呼び、いろいろな抗原に感染することで事後的に身に付く免疫系で、自然免疫が撃退しきれない場合に動き出す免疫システムです。
最後に、風邪で炎症を起こした喉や、荒れた胃腸や鼻の粘膜などは、自らの細胞を修復し新しいものに交換していきます(「自己修復・再生」する機能と呼びます)。これで、風邪から完治するという訳です。
この風邪を患った際の事例から、狭い意味での免疫ならば「自然免疫」と「獲得免疫」の部分の「生体防御」機能となりますが、広い意味での免疫を体の自然治癒力と捉えれば、
①「恒常性維持」、
②「自然免疫」と「獲得免疫」から成る「生体防御」、
③「自己修復・再生」という大きな3つの体内機能によるものが免疫と言うこともできるでしょう。
◇今回はここまでです。「免疫」についてイメージを持っていただけたでしょうか。
次回の後半では、免疫と環境を汚染する化学物質や放射線物質の関係についてお伝えする予定です。
runより:後編はまだHPでは発表されていませんが必ず掲載しようと思います。
化学物質が免疫に働きかける事を書いたものは少ないので貴重な資料になります。