・出展:ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
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ニュースレター第71号
体の免疫力と環境を汚染する化学物質の関係とは?
(前半)モリゾーさん(本名:森谷 隆)
読者のみなさま、こんにちは。「モリゾーさんに聞いてみよう!」第2回および第3回の企画では、「体の免疫力と環境を汚染する化学物質の関係」という科学の話を分かりやすくお伝えしようと思います。
まず、前半部分で体の「免疫」について考えてみましょう。
1、体の「免疫」とは、なんだろう?
免疫は、骨髄、胸腺、脾臓、リンパ節、扁桃、血管、皮膚、腸管、肝臓などの体の各器官や組織が協力しあって形作られ、「疫病(病気)から免れる(免疫)」=「病気を予防する」役割を果たしています。
ですから、私たちの体の中に、免疫という特定の器官がある訳ではありません。
免疫を担うのは体内のさまざまな細胞ですが、主役は骨髄で生産される白血球細胞(リンパ球、単球、顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)など)です。
白血球細胞の中でも、マクロファージ細胞(単球からできるもので、体内の細胞や異物を食べて(消化・分解)しまう細胞)、リンパ球細胞(NK細胞、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、B細胞)および樹状細胞といった免疫細胞と、それらの情報を伝達し合うタンパク生理活性物質(サイトカイン)が単独あるいは協力しあって働き、体外から体内に侵入したウィルスや病原菌(抗原とも呼ぶ)、体内で発生した癌細胞などの異物に対して絶え間なく監視・攻撃・排除を行い、免疫を司っています。
ここで、夏から秋・冬へ季節が変わる時期に風邪に罹った際の体の反応を事例として、免疫系の働きを理解して行きましょう。
先ず、季節の変わり目には外気の温度変化が激しくなりますが、そのような環境下でも、体は熱の放散と生成を調節し一定の体温を維持し、尿の量を調節するホルモンの働きなどにより一定の体内水分量を保つなど、代謝エネルギー・システムを調整し体を管理します。
また、外気の温度変化に適応しようと、自律神経によって心臓を動かし血液循環を調整したり、呼吸や胃腸での消化を調整したり、交感神経を通じて体を興奮した状態にしたり、副交感神経を通じて体をリラックスさせたりというバランスを取りながら体を一定の状態に維持します。
このような体内のバランスや秩序を正常に保とうとする機能を「恒常性維持」と呼び、季節変化があっても体調が崩れないようにする大事な機能となっています。
しかし、秋・冬の季節の変わり目の年末には、仕事も忙しく不規則な生活になりがちです。
すると、食事(栄養状態)や睡眠のバランスが崩れ、代謝エネルギー・システムが狂ってきます。
また、仕事量の多さと不規則な生活はストレスを増やし、自律神経の交感神経を高ぶらせ、体の興奮した状態が続くことから、血液の白血球中の顆粒球細胞が増え、免疫を司る主な白血球細胞(正常な状態の血液の白血球は、顆粒球細胞(60%)、リンパ球細胞(35%)、マクロファージ細胞(5%)で構成されている)の「恒常性維持」バランスが崩れてきます。
そこに、風邪のウィルスなどが口・喉から入ってくると、異物を体外に出そうとする反応として鼻水やくしゃみで出しますが、その防衛ラインを越えてウィルスが侵入してきます。