・<第6回>2003.12.12(488号)
電磁波漏洩の少ない商品が多い欧米に比ベ、日本はまだまだ。
私たち消費者ができることは?
個人でできる、電磁波被曝から身を守る方法
昨年10一月、米国カリフォルニア州保健局が、9年の歳月と700万ドルをかけた研究を終え、電磁場プロジェクトの最終報告書を発表しました。
そこには、電磁波を低減するための投資額と、それによって救われる人命の数字などとともに、学校現場での低減方法などがくわしく書かれていました。
たとえば教室で電磁波が一番強いのは床で、原因は下の階の教室の天井に取り付けられている蛍光灯なのだそうです。
その対策例として「コンクリートに遮蔽材を入れるのが望ましい」と書かれています。
また、IT教育室では、電磁波の強いVDT(コンピューター用ビデオ・ディスプレイ端末)のお尻が頭に近付くかないように「円陣になるように配置するのが望ましい」との図までありました。
この報告書を作成した委員のきめ細やかさには驚きます。
欧米では、電磁波漏洩の少ない家電製品が出回っていますが、日本ではほとんどありません。最近になって、低減化電気毛布が売れ始め、既存のメーカーが困っているとか。
しかし、「この製品は低減化していますか」と聞かない限り、販売員も低減化商品を売りたがらないようです。
メーカーも販売店も「電磁波は心配いらない」という建前を守っているからでしょうか。
電磁波潟湖の少ないスウェーデンの家電製品を大々的に輸入・販売するような勇気ある商社や生協は出てこないものでしょうか。
携帯電話のマイクロ波に関しても同じことがいえると思います。
国の規制値以下は、すべて「安全である」から、「頭の吸収量の表示は不必要だ」と総務省の役人はいったそうです。
欧米では「頭の吸収量」が製品に表示されていますから、被曝を心配する人は低減化した携帯電話を選択することができるのです。
昨年12月、ドイツ環境省は「クリスマスに子どもに携帯電話をプレゼントするのなら、青い天使マーク(安全マーク)のついたものにする」よう勧告しました。ドイツでは、規制値の約3分の1以下の電磁波吸収量の携帯にはこのマークがつくことになっていて、そのような携帯は15%もあるのだそうです。
業界が反対しているのに官庁の方が強行しているわけで、日本の逆ともいえます。
産官学が協力して「国民の健康を守る」のが原則のはずですが、少なくとも日本の電磁波問題に関しては、それはまったくウソだといえます。
そのような状況のもとでどうすれば私たちは「身を守る」ことができるのでしょうか。
そこで、私は以下の5つの方法を挙げたいと思います。
(1)測定をして現状を把握する
(2)発生強度の弱い製品を選ぶ
(3)人との距離を難す
(4)使用時間を短くする
(5)遮蔽を考える
さらに、電力線(送電線や配電線)や携帯基地局アンテナを民家から遠ざけることも重要です。
また、高周波を遮蔽できる窓ガラス、カーテン、壁紙などは入手することができます。
低周波の磁場遮蔽は困難ですが、配電線を三つ編状に捻り配線にしたり、接近させてロの字状の角に配線することによって低減化することも可能です。
いずれにしろ、最大の問題点は、どうしたら被曝強度を低減化できるかということです。そのためには「強度を測定する」必要がありますが、日本製の簡便な測定器は、まったくといっていいほど製造されていません。
私たちも10年以上前、開発を試みたのですが、モデルまでできたのに、なぜか最終段階でことわられました。
それが日本の業界の実情です。
とにかく、外国製の測定器を購入して身のまわりの電磁波強度を測定し、被曝量を低減する努力なしには、自分の身は守れません。
米国では、ケネディ大統領の教書である、有名な「消費著の権利憲章」が法制化されていて、消費者には「安全である権利」「知らされる権利」「選択できる権利」「意見を反映される権利」があるのですが、残念ながら、日本の消費者には認められていません。
政治の貧困でもありますが、私には、市民の意識にも問題があるように思えてなりません。
消費者の立場に立った信頼できるメーカーを育てることを、消費著も真剣に考える必要があります。