・<第2回>2003.11.14(484号)
「テレビを離れて見る」のは、なにも視力のためだけではありません。被曝を避けるためにも効果的てす。
”人体に影響アリ”の研究か続々登場。
電化製品には要注意
電磁波にはいろいろ種類があり、ラジオやテレビ、携帯電話などの情報通信に便われる電波もその一種です。
電磁波のなかで特に問題なのが、多くの家電製品に便われる低周波と、携帯電話などに便われる高周波のマイクロ波です。
その中間にあるラジオ波やテレビ波も放送アンテナ周辺では問題になりますが、家庭に届くときは微弱になっていますからあまり心配されていません。
低周波の電磁波の及ぶ範囲を電場(界)/磁場(界)というのですが、電場についての影響研究が少ないこともあって、いまのところは磁場の方が危険性が高いと考えられています。
この磁場の強度は「ミリガウス(mG)」、または「マイクロ・テスラ」で表されます(10mG=1マイクロ・テスラ)。
被曝度が強く、被曝時間が長くなるほど危険性が高まると考えられていたのですが、最近になって、細胞分裂の盛んな細胞では、短時間でも強い被曝が影響する可能性も指摘されています。
地磁気(地球の磁場)は500mG程度、メモ止めなどに使用するマグネットは10万mGもの強さですが、これらは時間変化しないような静磁場です。
生物は静磁場のもとで進化してきましたから、静磁場に順応できる生物が生き残ってきたとも考えられています。
現在問題になっているのは、電化製品に使用される、いわゆる交流の電気から漏洩してくる「変化する磁場」で、数mG程度の強度のものです。
テレビの前面は1メートルも難れれば1mG以下に低減しますし、近くでは強い低周波発生源でもある電子レンジは、2メートル離れればだいたい2mG以下になるでしょう。
一方、IHクッキング・ヒーター(電磁調理器)はご30センチメートル程度にまで近づいて使用しますから、50mG前後の被曝をすることになります。電気毛布は密着して使用しますから数十mGはあるでしょうが、最近では低減化された製品が出回っていて、よく売れているようです。
それでも長時間の使用や妊婦・子どもの使用は避けてほしいと思います。
意外と高いのが蛍光灯で、蛍光灯からの紫外線の危険性も懸念され、欧米の学校などでは使われなくなってきています。
教室では、天井からよりも床(下の階の天井にある蛍光灯)からの被爆が高いので、「シールド・コンクリートの使用で低減化できるでしょう」と、米国カリフォルニア州の報告書(昨年10月)に書かれていましたが、日本の無関心さには驚くばかりです。
その報吉書は、16mG以上の短時間の日常的被曝であっても、「初期流産が5.7倍に増加する」という研究があることで有名になりました。
日常的とは、朝夕にIHクッキング・ヒーターを使用したり、電車通勤で被曝したりする場合に相当します。
磁場強度は使用する電流に比例しますので、大型の電化製品ではなく、小型で効率のよい物を選ぶようにしたいものです。
「携帯電話の使用者には、頭痛などが多い」とい、論文はいくつも発表されていますが、「脳腫瘍が多い」とのスウェーデンからの報告を、英国BBC放送などが大きく取り上げ(1995年5月)、欧米で大問題になりました。
同様の研究が2000年、2001年にも発表されていますが、「脳腫瘍と無関係」との研究もあり論争中です。
また、マイクロ波を使用する「レーダー速度計が睾丸ガンの原因だ」とする警察官を中心とした訴訟や、「携帯電話で脳腫瘍になった」との訴訟も欧米では多いのです。
放送タワー周辺での「小児ガンなどの増加」を示す疫学研究も9件ありますし、昨年は携帯電話タワー周辺での「睡眠障害の増加」を示す研究も発表されています。
最近、ロシアの非電離放射線防護委員会が携帯電話について、「子ども/妊婦/てんがん患者の使用禁止」や、3分間以上/使用後15分間の再使用の禁止」を勧告しました。
いま私が一番心配しているのは、「脳への悪影響」と「胎児への悪影響」です。
いずれにしろ、低周波も高周波も、安全性が確かめられていなかったことが明らかになってきたのです。