知りたい知らない電磁波 | 化学物質過敏症 runのブログ

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化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

・出典:電磁波問題市民研究会
http://www.jca.apc.org/tcsse/index-j.html

・(ここに示された文章は、週刊金曜日第483号(2003.11.7)~第489号(2003.12.19)に連載された、「知りたい知らない電磁波」より、電磁波問題市民研究会が抜粋したものです)

知りたい知らない電磁波
荻野晃也(おぎのこうや)電磁波環境研究所

<第1回>2003.11.7(483号)


電磁波にはどんな害があり、どうすれば防げるのか。

電磁波問題の第一人者、荻野晃也さんの連載です。

「予防原則」は未来へのキーワード。疑わしきは避けよう
 携帯電話や家電など、身の回りにあふれる電化製品は、私たちの生活を便利にしました。その一方で、それらが発する電磁波による健康への影響が、新しい21世紀型公害として注目されています。
 今年の2月、ルクセンブルクで開かれた電磁波についての国際会議(世界保健機関〔WHO〕などが主催)で、研究者たちはWH○に対して「電磁波に予防原則の適用を求める決議」を採択しました。
 予防原則とは、「危険性が証明されるまでは安全と考える」のではなく、「深刻な影響があり得る場合は、科学的に不確実性が残っていても対策を取ろう」という考え方です。

21世紀、さらには今後1000年にも及ぶ環境思想の最重要キーワードとして登場してきた思想です。
 酸性雨、地球温暖化、オゾンホール、環境ホルモン(内分泌撹乱化学物質)にBSE(牛海綿状脳症)と、「後戻りができなくなるような危険」に直面した20世紀が残した貴重な教訓です。

ミレニアムの2000年2月には、欧州連合(EU)委員会が「環境問題に関しては予防原則を基本とする」との方針を決めています。
 1000年間は人間の40世代に相当します。

私たちの世代が子どもの遺伝子に消えない傷をつけたと仮定すると、その子どもが大人になって2人の子どもを生み、その孫がさらに2人ずつの子どもを生めば……まったくの単純計算ですが、1000年後には「2の40乗」にまで「遺伝子の傷」が広がることになります。

いまの世界人口の約150倍です。
 WHOが会議の決議をどうと扱うか、現段階ではまだはっきりしませんが、冒頭の講演でWHOの電磁波研究の責任者であるレパコリ博士は「予防原則を適応すべきかどうかを議論する段階ではなく、どのように適応すべきかが問題だ」と述べたそうです。

電磁波の影響は自明の理というわけです。
 WHOは2001年10月、国際ガン研究機関IRACの決定を受け、「超低周波の電磁場(波)」を「人間に発ガンの可能性あり」という「2Bグループ」に指定しています。「1グループ:発ガン性がある」から、「3グループ:分類できない」、「4グループ:おそらく発ガン性はない」の分類があるのですが、2Bは「2A:可能性が高い」に次ぐ分類です。
 WHOはまた、「4ミリガウス以上では小児白血病が二倍に増加」している可能性も認め、各国に「予防的対策」を求めました。
 その後、英国・放射線防護局は、小児白血病に加えてALS病(筋萎縮性側素硬化症)をも「可能性がある(2B)に指定、さらに、2002年10月に発表されたカリフォルニア州保健局・電磁場プロジェクトの最終報吉書は、9年余の研究の成果として白血病を「2B~1」に、大人脳腫瘍、ALS病、流産を「2B」に分類したのです。
 いまから約100年前、営業用に直流電気を使っていた発明王エジソンは、「身体深くまで電流の侵入する交流電気は危険だ」として交流電気を使用する弟子テスラらに大反対しました。

そのことを証明するため、エジソンは多くの動物を実験で殺し、ついには電気イスまで発明しでしまったのです。

しかし効率のよい交流電気派に負け、破産して悲惨な晩年だったのですが、その問題が形を変えて電磁波問題として再登場しているともいえるでしよう。
 電磁波とは、太陽光線の仲間で、エネルギーの高いガンマ線・エックス線などの放射線から約10億ヘルツの携帯電話や、50/60ヘルツの超低周波までをいいます。

電灯や無線などで生活が便利になった代償に、私たちは電磁波を日常的に浴ぴることになってしまったのです。
 20世紀は、放射線の発見から核兵器という悪魔の技術の獲得まで、物理帯国主義の時代だったといわれています。

そして、水銀やカドミウムや環境ホルモンなどの化学公害に加え、物理公害が大きな問題になった世紀でした。

その一つである電磁波が「身の回りに充満」していることの危倹に、人々はようやく気づいてきたのです。