・電磁被汚染かとくに心配なのは[極低周波」とマイクロ波
さて電磁波は、もともと自然界に豊富にあるもの。
太陽から地球には、あらゆる種類の電磁波がシャワーのように降り注いています。
ただしX線や紫外線など、有害な電磁波は大気中の水蒸気やオゾン層によって一定以上は生物圏に届かないよう、地球が守ってくれています。
これらさまざまな電磁波の関係を示したものが、115ページの図(省略)ですが、いわゆる「電磁波汚染」として最近とくに問題になっているのは、送電線や家電品から発生している50~60ヘルツ前後の「極低周波」と、携帯電話を中心に普及が著しい1.5ギガヘルツ前後の「マイクロ波」です。
これらは自然界に存在する量が極めて少なく、人類がこの100年近くの間に送電や通信目的で人工的に作り出してきたのが特徴。
今、生物圏は、人が作り出した不自然なものによって未曾有の不安にさらされていますが、電磁波もまたその不安の要因として危惧されています。
ヨーロッパでは政府も公認!携帯電話の脳へのリスク
携帯電話のマイクロ波は、長期間使用することによって遺伝子損場や脳腫瘍を引き起こす可能性が疑われています。
たとえば、アメリカのレイ・ティス博士とグレイアム・フック博士は1999年、3機種の携帯電話を使ってヒトの血球にマイクロ波を24時間照射する実験によって、染色体の損傷を確認しました。
スウェーデンのレナード・ハーデル博士が翌年発表した報告は、もっと衝撃的です。
腫瘍の部位がわかっている脳腫瘍患者198人のうち、常時携帯電話を使っている側に腫瘍ができる確率は、2.4倍だったというのです。
ヨーロッパ各国はすでに、こうした携帯電話の健康リスクへの予防策をこうじ始めており、フランス政府は昨年、16歳未満の子どもに携帯電話使用を制限することや、成人にもイヤホンとの併用、妊産婦は本体を腹に近づけないことを勧告しました。
「携帯電話は、消費者がリスクについて十分知らされないまま広まった商品。あくまで『緊急用』と割り切って1分以内に切り、なるべく公衆電話を使ったり、イヤホンを併用するなどの自衛策が必要」と語るのは、「電磁波問題市民研究会」事務局長さん。
イヤホンによって、電磁波の脳への影響は約20分の1に下がるといいます。
携帯電話ではもう1つ、日本中に建設されているアンテナ(基地局)からの電磁波汚染も見逃せません。神奈川県に在住の男性とその母が住むマンションの屋上に、見慣れぬアンテナが建ったのは約4年前のこと。
それから半年後、2人には頭痛、睡眠障害、記憶障害など、さまざまな原因不明の症状が現れました。
問診の結果、2人はともに「電磁波過敏症」と診断されました。住んでいる6階の部屋にコンクリートを突き抜けて、電磁波の影響が及んだらしいのです。転居した今も、蛍光灯の下や電柱のトランスの下などでは肌がチクチクと痛み、重圧感を感じると訴えています。