・報告書の詳細について:
Q15.現在のTDIの算定根拠となった主な毒性影響は何ですか?
A15.ラットの胎生期(最も感受性の高い時期)の単回投与実験で観察された胎児(雌)の雌性生殖器の形態異常などです。
これは、現時点で入手できる各種毒性試験のうち、TDIの算定根拠にできる明らかに毒性とみなされる影響です。
Q16.一日精子産生数の低下や精子数減少などの雄性生殖器系への影響を主な根拠にしなかったのはなぜですか?
A16.精子細胞や精子に対する影響については多くの実験報告がありますが、影響の有無及び認められた影響の毒性学的意義については、報告間で大きな差があり、整合性のある結果が得られていません。
ワーキンググループでは、1998 年以降に公表された生殖発生毒性に関する論文の内容について検討しましたが、精子細胞や精子に対する影響の再現性
や毒性学的意義についての問題を解決する新たな知見は得られなかったことから、これらの影響をTDI算定の主な根拠にはしませんでした。
Q17.ワーキンググループの結論が欧州科学委員会における評価結果と違っているのはなぜですか?評価の対象にしている毒性データが違うのですか?
A17.欧州科学委員会は、ダイオキシン類の一週間あたりの耐容摂取量として 14 pg/kgを勧告しています。
欧州科学委員会における評価ではワーキンググループと共通のデータセットを材料にしていますが、耐容摂取量を求めるための根拠にした主な影響、耐容摂取量の計算に必要な体内負荷量に関するデータの取扱、また耐容摂取量の表現方法が異なります。
耐容摂取量を求めるための根拠にした主な影響については、より感受性が高いと考えられた実験動物で観察された精子に対する影響が採用されています。
一方、耐容摂取量の計算に必要な体内負荷量については、単回投与の結果から計算モデルによって反復投与時の結果を推定する方法を用いて高値側に補正されています。
また耐容摂取量の表現方法については、摂取量の日間変動の影響を少なくするために、一週あたりの耐容摂取量が提案されています。