調理・加熱等による食品中のアレルゲン性の変化について | 化学物質過敏症 runのブログ

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・シンポジウム5
食物アレルギー研究の最近の進歩
司会者:海老澤元宏1), 眞弓光文2)(国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部1), 福井大学医学部小児科2))

S5-4.調理・加熱等による食品中のアレルゲン性の変化について

伊藤節子
同志社女子大学生活科学部食物栄養科学科


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 食物アレルギーの治療の基本は,正しい抗原診断に基づく必要最小限の食品除去よりなる食事療法であり,その目的は「食べること」である.

その診断と治療において,まず求められているのは食品中のアレルゲン性の評価法の確立である.

また,多くの食品は加熱調理後に摂取されるが,食品により加熱によってアレルゲン性が大きく変化するものとほとんど変化しないものとがある.

食品中のアレルゲンは,摂取後吸収されてから初めて抗原性を発揮するため,臨床的に有用な食品のアレルゲン性の評価には,生体が吸収することができるアレルゲンの定量が有用である.

この観点から,特定原材料の検出のために開発された検出キットのうち,抗原の抽出を塩水溶液で行う従来法と,現行のFASPEKとを比較検討した.

その結果,加工食品中の原材料としての抗原の検出という本来の目的からは従来法に比べてFASPEKが格段に優れていたが,食事指導に役立つ臨床的に有用なアレルゲン性の評価という観点からは,従来法を活用することができると考えられた.

本シンポジウムでは,小児の食物アレルギーにおいて,即時型反応においても乳児期発症の食物アレルギーの関与するアトピー性皮膚炎においても原因抗原として頻度の高い卵,牛乳,小麦を取り上げ,その主要抗原である卵白アルブミン,オボムコイド,β-ラクトグロブリン,カゼイン,グリアジンについて,加熱および調理法による抗原性の変化を検討した結果に基づいて,アレルゲン性を低下させる要因と,「食べる」側の観点からみた食品のアレルゲン性の標準化の可能性について述べる予定である.

第20回日本アレルギー学会春季臨床大会 2008年6月開催