・ 申立書によると、基地局は、動く画像の送信などが可能な次世代携帯電話「F0MA」のための施設で、2月に突然、着工の知らせがあった。
驚いた住民側は抗議するとともに説明会を開くよう求め、3月にやっと開かれたが、物別れに終わった。
ところがドコモ側は、その4月後に着工に踏み切ったというのだ。
こうしたいきさつを述べたうえで、
<基地局から出る(電磁波の一種である)マイクロ波は目や耳、循環器系、自律神経などに異常をもたらす恐れがあるうえ、発がん性、特に小児白血病についても可能性が示唆され、いまだに結論は出ていない>
として、安全性が確立されるまでは操業するべきではないと訴える。
「半径400メートル」というのは、マイクロ波の影響が最も心配される範囲だという。
これに対し、「基地局から出る電磁波の強さは国の安全基準値を大きく下まわっている」(広報)と主張するドコモ側は建設を続行し、7月には「サービスを開始」、つまり仮処分の結論が出ていないのに電波を飛ばし始めてしまったのだ。
住民側代理人の徳田靖之弁護士はこう憤る。
「ひそかに土地を入手し、説明会さえも住民が要求しないと開かないなど、NTTドコモ側の対応には、正直、これでも一流大企業なのかという疑念を抑えられない。将来、発がん性が分かって操業をやめたとしても、すでに病気にかかっていれば取り返しがつかない。そうであれば、結論が出ていない段階ではリスクを最小限に抑える、例えば子どものいる住宅地や学校、幼稚園、保育所のあるところでは基地局建設を避ける義務があるはずだ」
ちなみに徳田氏は、ハンセン病訴訟やスモン訴訟で患者側代理人として国や製薬会社と闘うなど、人権派弁護士として全国的にも著名な存在。
今回は、その徳田氏を中心に弁護士10人で「弁護団」を構成するという力の入れようだ。