・1日10時間の子も
このときゲームもせず、テレビもほとんど見ないのに、なぜか「ゲーム脳」という男子大学生がいた。
聞けば、1日に携帯メールを2時間以上。
友達との会話のほとんどがメール、という生活だった。
「携帯メールは、文章を作るので一見頭で考えているようですが、実際は挨拶程度や単語の羅列に近く、文章とは言えないものも多い。
文字を画像として認識し、反射的にボタンを押しているから、テレビゲームに近いんです」
高校生を調査すると、まず携帯メールをしていない生徒は皆無だった。
短い子で10、20分。
長い子では1日に10時間の子も。
結果は、「ノーマル脳」がたったの1割で、残りは「半ゲーム脳」か「ゲーム脳」だった。
1日10時間メールをするという女子高生は、ゲーム経験がないのに「半ゲーム脳」。
β波は出ているが、α波より低い。
このままメールをやり続けると、完璧な「ゲーム脳」になる可能性が高いという。
中には1日にテレビを1、2時間、ゲームも1時間、携帯メール1時間という電子メディア大好きの女子高生もいたのだが、意外にも「ノーマル脳」。
ゲーム脳や半ゲーム脳だった子との連いは、メール以外にも友達と直接しやべる時間が長いという点だった。
「しゃべるのが不得意、友達も少ない、コミュニケーションはメールが主という子が『ゲーム脳』になる。
そういう子は顔も無表情。
逆にメールやゲームをやっていても、それ以上に他人と直接会話をしていれば、その間前頭前野も働くから、影響が小さい」
と森教授はいう。脳波を調べると同時に、記憶力のテストもした。
6桁の数字を1秒表示して、何人が覚えているか。100人中ほとんどの生徒が覚えられなかった。