・電磁波の恐怖は発生源との距離
携帯電話をめぐる諸問題とは、結局のところ電磁被の危険性に集約される。ところが、この電磁波というものは、だれもがよく耳にしている言葉でありながら、実は意外にわかりにくい。
電磁波を専門的に定義するとかなりややこしくなるが、ひらたくいってしまえば電気(もしくは磁気)エネルギーが生じたとき周囲に発生する波動のことである。
つまり電気か流れるところには、すべて電磁波が生じる。
意外に思われるかもしれないが、紫外線や赤外線も電磁波だ、エックス線やガンマ線もそう。
もちろん、ラジオやテレビの電波も電磁波である。
この広い意味での電磁波のうち、波長が非常に短いものをマイクロ波と呼ぶ。
このマイクロ波が携帯電話から発せられている電磁波である。
電子レンジで食品を加熱調理するさいに用いられているマイクロ波は、携帯電話から出る電磁波と非常に波長が近い。
もちろん、電磁波はレンジやパソコン、テレビなどあらゆる家電製品から放出されている。電気の流れるところには、必ず電磁波が生じるからだ。
問題はそのエネルギーの強さである。いや、距離の問題といったほうがいいかもしれない。
電磁波の強さは距離の2乗に反比例するという法則がある。
この「距離の2乗」というところがミソだ。
この恐ろしさをほとんどの人が正確には理解できてない。
電磁波の発生源とあなたの距離が2分の1になったとしよう。
受けるエネルギーは近づいた距離の2乗で4倍強くなる。
さらにその半分近づけば、電磁波の強さは16倍となる。
このように半分ずつ距離を縮めていけば受ける電磁波の強さは、64倍、256倍、1024倍、4024倍、1万6384倍と指数関数的に増大していく。
しかも携帯電話は頭部に密着して使用される。つまり電磁波の発生源との距離はほぼゼロ。
どんなにわずかで微弱な電磁波であろうと、とてつもない影響力を被ることはおわかりだろう。
しかも人間の頭部には、とりわけナイーブな脳の神経細胞が密集している。
携帯電話が人体に影響を及ぼすことはないどいう主張は、ちゃんちゃらおかしくて子どもにでも見抜けるたわごとにすぎない。