・高性能化する機能と公開されないデータ
携帯電話の危険性について、専門家はこれまでに幾度となく指摘を繰り返してきた。
携帯電話が人体に及ぼすさまざな影響についての研究は欧米を中心にさかんに行われ、その研究成果は、あくまでも客観的なデータとして全世界に公表されている。
にもかかわらず、一段の利用者が携帯電話の危険性について十分認識しているかというと、はなはだ疑わしい。
とくに日本仁おいては、その傾向が顕著である。
たとえば日本では、今月末、世界に先駆けて次世代携帯電話のサービスが開始される。
おそらく新聞・雑誌・TVなどのメデイアはみな、こぞってこの話題を華々しく報じるだろう。
たしかに、新たに登場する次世代携帯電話は注目に値する。
度肝を抜くほどの高性能・高機能は、まさにリトル・モンスターと呼ぶにふさわしい。なんとその通信速度は、理論値で2メガbpsを実現した(bps=ビット・パー・セコンド。
1秒間に送ることのできる情報量を表す単位)。
ちなみに、この2メガbpsという通信速度は、ISDN回線の30倍以上の速さであり、従来型の携帯電話と比較すれば、その速度は200倍を超える。
技術者たちが自画自賛するように、たしかにこの通信速度ならば映画をリアルタイムで配信することも不可能ではない。
ただし、あくまでもあんなチマチマした画面で映画を見たい、と考えるヘソ曲がりな人間が存在すると仮定しての話だが。
しかし--たかが電話機に、こんなべらぽうな通信速度がなぜ必要なのか、と問う声ば聞こえてこない。
だれもが疑問もなくリトル・モンスターの高性能・高機能ぶりを賞賛し、手放しで喜んでいる。
いや、その前にもっと重大な疑問がある。
これだけの高性能・高機能を実現するために、次世代携帯電話から発せられる電磁波が、従来型のものとくらべてどれだけ増大したのかをだれも気にしていないし、疑問に感じてもいない。
これば実に恐ろしいことだ。
携帯電話メーカーは、次世代携帯電話の高性能・高機能ぶりをアピールするために、あらゆるデータとスペックをカタログ上に麗々しくうたいあげている。
そのカタログのなかでたたひとつ抜けているデーター-それが電磁波強度を表すデータなのだ。
このことを、なぜ一般利用者は疑問に思わないのだろうか。