・○パソコンが精神・神経に悪影響
パソコンがもたらす健康障害は、電磁波と他の要因が組み合わさって起きるケースが多い。精神・神経障害もその一つである。
ひところ、テクノストレスという言葉が流行した。コンピュータが普及するにつれて、精神的にストレスを蓄積してしまう人が増えている現象を示した言葉である。このストレス増大には、いくつかの要因がある。
まず、機械を媒介としたコミュニケーションが広がったため、人と人の関係が稀薄になったことがあげられる。また、コンピュータは、入力後のプロセスが機械の中に隠れ、結果だけが出力される仕組みになっている。
そのため、教育分野では子どもの人格形成で最も大切な、筋道を立てて考えるプロセスを、パソコンによって学ぶことができない恐れがある。
さらに、これは子どもだけに限らないが、人によりコンピュータに対する適性・非適性の差が大きいことがあげられる。
一方でパソコンにのめり込んでしまうタイプの人がいれば、他方でまったくついていけない人がいるが、前者をテクノ依存症、後者をテクノ不安症という。その適性の差も、ストレスの蓄積につながっていく。
グレイグ・ブロードが『テクノストレス』(新潮社刊)という本で表現したのは、実はこの現象をさしている。
電磁波の影響に話を戻すと、最近では電磁波が、脳の中の松果体といわれる部分に影響を与えることが明らかになってきている。
詳しくいうと、この間脳にぶら下がった小さな器官がつくりだすホルモンの分泌量が、電磁波の影響で低下することによって、精神的影響が出るというのである。
中でも大きいのが、神経情報伝達物質のドーパミンとセロトニンが抑制されることによる影響である。
元ニューヨーク州立大学のロバート・ベッカー教授と、ルイジアナ大学のアンドリュー・マリノ教授は、1977年に高圧送電線と自殺者の関係を調査し、強い変動磁場にさらされる地域では、自殺者の割合が約40%高くなることを明らかにした。
電磁波がもたらす精神・神経的な影響は、複数の要因が重なりあって起きていると考えられている。
中でも、電磁波が引き起こすメカニズムが、注目されはじめてきたところである。