電気学会「電磁界報告書」の問題点2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・電力学会が「特別委員会」を発足させたのは、95年12月である。

報告書の作成作業と並行して、「電磁界の健康影響に関するシンポジウム 」を97年7月11日(第1回・東京)から開催している。

第2回(98年1月23日・東京)、第3回(98年7月16日・大阪)第4回(99年1月29日・名古屋)、第5回(99年7月13日・広島)と開催し、安全宣伝に必死なのである。

98年6月末にNIEHS作業グループの報告書(以下「グループ報告書」)が発表になったが、その直後の第3回シンポジウムでどのように議論されるのか興味があったので出席してみた。

電気学会の体質や作成中の報告書の内容を知るのに最適だと思ったからでもある。

研究状況を関根教授が、「電磁界の健康影響について」を武部啓・近畿大教授(京大名誉教授)が講演し、第二部の質問コーナは司会が宅間教授で、回答者には笹野隆生・電中研主任研究員、多気昌生・東京都立大教授(現)、宮越順二・京大(医)助教授などが参加していた。
 武部教授の講演は、「電磁波が危険だ」との出版物が「こんなに沢山ある」とリストを見せ(勿論、小生の本も入っている)、TV朝日の「ザ・スクープ(95年3月放映)」ではこんな間違いを放映していると指摘し、誤訳のビデオが反対派のバイブルのように出回っているのが問題だと批判していた。

確かにミスではあろうが、全体の流れで考えればそんな大きな相違とは私には思えないのだが、武部教授にとっては我慢が出来ない事だったらしい。

何度も武部教授の「ザ・スクープ」批判を聞いている私だが、98年9月14日のチューストンで開催された第1回「グループ報告書」公聴会でも同じ事を陳述しているのには驚いてしまった。

私から見ると、全米科学アカデミー・研究評議会報告書(96年10月)や米国立ガン研究所報告(97年7月)などが日本のマスコミなどで、「影響がない」かのように誤報道されている事の方がより重要だと思うのだが、武部教授がそれらについて批判した事は聞いた事がない。

疫学研究を紹介したのも武部教授だが、ヒロシマの被曝者のガン発生や塩・摂取による胃ガンの増加などの話しをした後で、「Prudent Avoidance で塩の摂取を止めますか」とまで発言するのには驚いてしまった。

「塩の多量摂取が健康に悪い」ことは常識になっているからこそ「摂取を減らす」との Prudent Avoidance を行っているのである。

「電気の使用を止めよう」というのではなく、塩と同じように減らすことが可能であるにもかかわらず、「安全だ」との建て前で平気で被曝をさせ続けている事が問題なのである。

第2部の解説コーナで「グループ報告書」の質問に答えていたのは笹野氏であった。

国際ガン研究機構(IARC)の分類法に従って「グループ報告書」が作成されたのだが、「分類2B(可能性あり)」の中には「わらび、コーヒ、DDT、ガソリン排気ガス」などがあり、その分類に今回「電磁場」が含められたのだ。

「分類2A(可能性が高い)」には「紫外線」があり、「分類1(ガンの原因)」には「アスベスト、ダイオキシン」があるが、それらに比べると「2Bは大した事がないのだ」と言わぬばかりの発言であった。

「100%明らかに証明されたわけではない」ことは、私も言っていることなのだが、これだけ危険性を示す研究がある以上は、送電線下に家の密集しているようなこの日本こそ率先して「慎重なる回避(Prudent Avoidance)」が必要なのである。

「明か」になってからでは遅いからだ。