・東欧および旧ソ連では、既に述べたように、マイクロ波の非熱効果も考慮して規制値は0.01mW/cm2になっている。
この低い規制値は1933年以来の長年にわたる観察から設定されたものである。
放送局からの電波によって頭痛、眼痛、様々な自律神経系の症状が現れた。さらに電波を浴び続けると、不整脈、眩暈、神経過敏、意気消沈、知的能力の低下、集中力の低下、記憶力の喪失、脱毛、食欲不振、うつ、幻覚などが現れ、精神病に至ることもあった。
さらに、リンパ球の減少、白内障や不妊症が頻発、女児出生率の増加と男児の減少、流産や小児死亡率の上昇が起こり、レーダー技師では脳波や心電図に変化が見られた。
このような身体の変調は、ペテルスブルクのゴードンとマルソーなどによって指摘されている。
80年代の米国の調査は、旧ソ連の調査よりも15年遅れで同じ結果となった。
動物実験で、リンパ球細胞分裂の加速化、奇形や染色体異常といった遺伝子の異常、植物や昆虫の実験では遺伝障害が見られた(ヒラー報告)。
さらに、高周波にさらした動物に白血病が見られた。白血球に正常な細胞分裂能力が無くなったのだ。
この種のことは、ポーランドの遺伝学者クチャルスキーも述べている。
1984年にハイデルベルク大学のアンドラス・ベルガ博士は、許可された規制値である2.5mW/cm2を照射したニワトリのヒナが、数時間で死亡したとの研究報告を提出した。マイクロ波の密度を下げると、奇形が現れた。フランクフルト大学の神経生物学者ペーター・ゼムは、キンカチョウ(錦花鳥)にドイツの基地局と同等の電磁波を30分照射した。
実験された鳥は、脳の神経細胞の約60%が電気信号の交信機能を損なった。コオロギの実験では、後ろ足の反射行動に阻害が見られた。
伝書鳩にも携帯電話の電波を照射したところ、脳内でのメラトニンの生産に時間がかかるようになった。
継続して照射すると「時差ぼけ」のような状態に至った。
マインツ大学の医学者であり物理学者であるヨアヒム・レシュケは、青年の夜の睡眠を調査した。
ベットの上に脳から40cmの距離のところに携帯電話を置いた。
寝入るのは早かったが、夢を見ることを妨げられ、夢を見ている時間が少なくなったとの結果がでた。
これは、記憶力には重大なことである。
夢を見ている時間に日中の出来事の視覚的印象が保存され、長期的な記憶となるからである。レシュケは、「現時点では全く何の心配も持たずにケータイと付き合うべきではないだろう。」と述べている。