SHS診療マニュアル14 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・Ⅱ アレルギー性鼻炎の定義、概念および病態4)
アレルギー性鼻炎は鼻粘膜の抗原特異的IgE抗体を介したⅠ型アレルギ
ー性疾患で、原則的には発作性反復性のくしゃみ、水様性鼻漏、鼻閉を3主
徴とする疾患と定義されている。

大多数の患者で原因抗原(アレルゲン)の
同定が可能である。アレルギー性鼻炎は、好発時期から通年性と季節性(花
粉性)に大別される。
アレルギー性鼻炎の発症には様々な遺伝因子と環境因子が関与すると考
えられている。環境因子としては、第1に原因抗原が挙げられ、通年性で
はダニ、季節性ではスギが圧倒的に多い。

その他、イネ科、キク科などの
花粉、イヌ、ネコといったペットの毛やふけなどが主な原因抗原を占める。
抗原以外の環境因子としてディーゼル排出粒子など大気汚染、喫煙、居住
環境の変化、高蛋白・高脂肪食といった食生活、腸内細菌叢の関与、結核
や寄生虫も含めた感染症の減少による影響が指摘されているが、十分に解
明されている訳ではない。
病態、鼻粘膜表層の肥満細胞上の特異的IgE抗体との抗原抗体反応の結
果、肥満細胞より遊離された化学伝達物質のうち、ヒスタミンは鼻の知覚
神経である三叉神経を刺激する。

刺激は中枢に伝えられ、くしゃみ発作を
誘導するが、同時に副交感神経を中心とした反射路を介して、鼻腺や鼻粘
膜血管に伝えられ、鼻漏や鼻閉の発現に関与する。

一方、遊離された化学伝達物質は、鼻腺や鼻粘膜血管に直接にも作用する。

この中で鼻汁分泌に関しては神経反射を介しての経路が、鼻粘膜血管腫脹への影響はロイコトリエンを代表とする化学伝達物質の直接作用が大きく関与することが明らかになっている。
病態形成には、他にも様々な因子が関与しており、鼻粘膜上皮細
胞の障害による知覚神経終末の露呈や、上皮の透過性亢進は過敏性形成に
大きな意味を持つ。

また、抗原侵入後のⅠ型アレルギーによる即時反応の
みではなく、好酸球を中心とした炎症細胞の浸潤が誘導され、鼻閉を中心
とした遅発相を誘導し、さらにはアレルギー性鼻炎の遷延化、重症化に関
与すると考えられている。

近年、このようなアレルギー性鼻炎で見られるIgE抗体産生、炎症反応誘導の根底にはTh1/Th2サイトカイン産生のアンバランスの存在や調節性T細胞の障害が指摘されている。