SHS診療マニュアル9 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・2.既往歴
シックハウス症候群は未だそのdisease entityも発症機序も病態も不明の症候群である。

もし他に疾病があるならその治療のほうが先決となる。また症状は多彩な自覚症状が主でありその自覚症状を裏付けるような客観的所見を欠く場合が多い。

従って他の疾病がある場合患者の症状はその疾病による可能性があることを常に頭に置かなければならない。

内分泌・代謝疾患、消化器疾患、循環器疾患、呼吸器疾患、腎疾患、神経疾患等注意深く鑑別しなければならない。

特に精神疾患に関しては場合によっては精神科、心療内科の併診を考慮しなければならない場合がある。

シックハウス症候群患者にはアレルギー疾患、とくにアレルギー性鼻炎の合併・既往が多いと言われている。

診断の根拠にはならないが聞いておくべきである。喫煙歴、飲酒歴も確かめておく必要がある。
これまでに罹患した疾病に対して使用した薬剤も確かめる。

その薬剤が安全に使用できたかどうかも訊いておく必要がある。

女性については月経歴、妊娠歴、出産歴も聞いておく。
3.
家族歴
家族に同じ症状を訴えている人がいるかどうか、いるとしたら誰なのか、同じ部屋あるいは条件で症状が出るのかどうかを確かめる。

家族の喫煙歴、飲酒歴も聞いておく。
② 検査法:臨床検査
本症の確定診断に結びつく、特異度・鋭敏度とも高い臨床検査は現在までのところ存在しない。
② 検査法:日常生活曝露
本研究班のシックハウス症候群(SHS)の狭義の定義によれば、「建物内環境における、化学物質の関与が想定される皮膚・粘膜症状や、頭痛・倦怠感等の多彩な非特異的症状群で、明らかな中毒、アレルギーなど、病因や病態が解明されているものを除く」となっており、化学物質の関与が本症候群発症の前提とされている。
化学物質の関与を明らかにするためには、以下のような方法が用いられてきた。

まず、最も一般的に行われているのは住環境中の化学物質の測定であるが、これは、問題となる住居の中で実際にカルボニル類やVOC類の濃度を測定し、一定基準値を超えた場合に、少なくとも候補物質としての必要条件を満たしたと考える。

しかし、環境中には場所に応じて様々な化学物質が存在しており、その中でたまたま濃度が高かった物質が原因になっているとは限らない。

次に、SHSの一般的な原因物質として知られている化学物質を用いた負荷試験であるが、これは特にブラインド化して臭いも感じない濃度で実施された際に、特徴的な自覚症状や生理的変化などが認められれば、原因物質である可能性が高い。

しかしこの方法では、大規模な施設が必要な上に患者に対する負担も大きい。

そして、2~3種類の化学物質の検査しかできず、偽陰性となる可能性も少なくない。