【酸性雨】 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・「出典」APEC 環境技術交流バーチャルセンター
http://www.apec-vc.or.jp/j/
・【酸性雨】
玉置元則

酸性雨(酸性沈着)
 酸性雨は自動車や工場から排出された酸性の窒素酸化物(NOx)や二酸化硫黄(SO2)が空気中や雲中でさらに酸性が強く水にも溶けやすい硝酸や硫酸に変化し、雨水などを酸性化させる現象である。

 当初、このような物質が雨水に溶け込むことにより、酸性の程度を示す指標であるpHが5.6以下に低下する場合が酸性雨と考えられていた。

その理由は、酸性雨は人為的理由による酸性化と考えられていたためであり、そうであれば、主に自然的発生による大気中の二酸化炭素(CO2)が水に溶け込んで平衡状態になるときのpHが5.6程度だからであった。

しかし、雨水を自然的に酸性化させる物質はCO2以外にもあることがわかってきたため、現在では日本や米国を含め多くの国で、いわゆる酸性雨の一つの目安をpH5.0程度以下の降水としている。

これは定義や基準ではなく、あくまでも目安である。

 気象的には降雨と降雪は区別されず、両者を合わせたものが降水であるが、さらにこの降水に霧を加えて、これらの水っぽい自然現象による大気汚染物質の除去過程を湿性沈着と呼んでいる。

これに対して、非降水時にも、大気汚染物質は地表面や水面あるいは物質表面に降下してくる。

このような現象を乾性沈着と呼んで湿性沈着と区別しており、現在では湿性沈着と乾性沈着を合わせた沈着過程が酸性化される場合に酸性沈着(酸性雨)と定義している。

降水の酸性化の機構は2種類ある。一つは大気中や雲中で生成された酸性物質が雲水を酸性化する過程であり、雲内洗浄と呼ばれている。

他方、降水が始まり、雨滴や雪片が落下途中で大気中の酸性物質を取り込む過程は雲底下洗浄と呼ばれている。

雲内洗浄は汚染物質の長距離輸送をより反映し、雲底下洗浄は地域汚染をより反映する。

 酸性雨の原因物質は1,000km程度輸送されるため、その対策には国際的な協力が必要になる。

そのため、すでに北米や欧州では酸性雨監視を含む国際協力体制が形成されている。

東アジア地域においても、今後大気汚染物質濃度が上昇し、この地域における酸性雨の影響が懸念されるため、日本のイニシアチブにより「東アジア酸性雨モニリングネットワーク(EANET)」が組織され、1998年4月から約2年半にわたる試行稼動を経て、2001年1月から本格稼動が開始された。

現在13カ国の参加の下に、共同の監視体制を構築し、そのデータをもとに参加国間での酸性雨問題に関する国際協力を推進している。