アレルギー疾患対策の現状と問題点10 | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

・(2)アレルギー疾患対策の具体的方策
今後の目標を達成するため、重点的に取り組むべき具体的方策は以下のとおりである。
ア 医療の提供等
(ア) アレルギー疾患に必要な医療体制の確立
○ かかりつけ医を中心とした医療体制
・ 国においては、アレルギー疾患に係る医療体制を確保するため、日本医師会等医療関係団体や関係学会等と連携して、診療ガイドラインの改訂及びその普及を図ることにより、地域における診療の向上を図る。

また、地域におけるアレルギー疾患対策の医療体制の在り方としては、何らかのアレルギー疾患に罹患する患者が非常に多く、全ての患者を専門医が診ることは現実的でないため、安定時には身近なかかりつけ医が対応することが望ましく、かかりつけ医の診療をさらに向上させることが望まれる。

そのためには、かかりつけ医が担う診療において必要な最低限度の技能や知識等を明確化し、その基本的診療技術の習得を推進していく必要がある。
・ 都道府県においては、上記のような国の取組や医療計画等を活用して、地域の実情に応じたアレルギー疾患に関する医療提供体制の確保を図ることが求められる。

また、適切な地域医療を確保する観点から、地域保健医療協議会等を通じて関係機関との連携を十分図る必要がある。

なお、地域医療に求められる医療体制の例としては、以下のようなものが考えられる。

病状の安定している時期には、身近なかかりつけ医が診療に当たるが、重症難治例に対しては専門的な対応が必要である。

そのため、アレルギー疾患に対する専門的・集学的な対応が可能な医療機関を地域ごとに確保することが必要である。

このような専門医療機関は、少なくとも都道府県に1カ所程度は確保することが望まれる。

なお、専門医療機関に求められる診療体制とは、アレルギー疾患の急性増悪期に対する適切な対応が可能であるとともに、標準的な治療による疾患管理が困難な、いわゆる難治性のアレルギー疾患に対する専門的な診療に習熟した医師を有していることを指す。

このような専門医療機関は限られていることから、専門医療機関等が互いに支援できるような、専門医療機関間での連携も重要と考えられる。
また、アレルギー疾患では、喘息の重積発作や大発作、重症感染症を併発している状態あるいはアナフィラキシーショックのような、緊急を要する病態を来す可能性もあることから、救急時対応を行う救急病院においても、アレルギー疾患の緊急時対応を適切に行える医師が配備されていることが望まれる。
・ 身近なかかりつけ医においては、一次医療機関での対応が可能な症例であっても、診療科の違い等により、必ずしも最新の診療ガイドラインに基づいた基本的診療技術を習得しているとは限らないため、診療科の異なる診療所間等において、適切に患者を紹介し合う等の連携体制を構築することが望まれる。
・ 壮年期における喘息死患者の多くが不定期受診に起因していることを鑑み、不定期受診により病状が重くなって受診した患者であっても、可能な限り標準的・統一的な治療が提供されるよう、地域において診療カルテの共有化を図る、薬局間での連携や情報の共有化を図る、患者カードの所持をより啓発するなどの、地域における標準的・統一的な治療の普及に資する取組にも期待したい。
・ 診療ガイドラインに基づいた標準的な医療を提供するに当たっては、医師のみならず、看護師や薬剤師、管理栄養士等の果たすべき役割も大きいことから、医療従事者間における相互の密接な連携も重要である。

その具体的な在り方については、その地域事情によって大きく異なることが考えられるが、それぞれの地域の特性を活用した取組は、地方公共団体や地域の関係団体等との間でも検討されることが望ましい。
○ 喘息死等を予防する医療体制:「喘息死ゼロ作戦」の推進
近年着実に減少傾向にある喘息死の今なお残る原因として、患者側の喘息診療に対する認識不足や不定期受診等の問題、診療側の診療ガイドラインに基づいた標準的かつ計画的な治療管理が行われてないなどの問題が従前から指摘されている。

これらの問題を総合的に解消していくため、地域において診療所等と救急病院とが連携し、患者教育を含む適切な治療方法の普及と患者カードを常に携帯してもらうことによる医師-患者間の情報共有等を図ることへのより一層の取組が重要である。
なお、救急病院は、基本的には、二次医療圏単位で確保されることが望ましい。当該病院に求められる要件としては、高度、大規模な医療機器を備えている必要はなく、アレルギー専門の医師の確保がなされていれば足りると考えられている。
※ 喘息死ゼロを目指した取組の主な内容は以下のとおりである。
・ かかりつけ医への診療ガイドライン等に基づいた基本的診療技術の普及
・ 患者カード携帯、喘息日誌の活用等による患者の自己管理の徹底
・ 救急時対応等における病診連携の構築
・ 医療従事者間の密接な連携体制の確立