アレルギー疾患対策の現状と問題点11 | 化学物質過敏症 runのブログ

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(イ)人材育成
○ アレルギー疾患の基本的治療・技術をもつかかりつけ医の育成
・ 国においては、診療ガイドラインに基づく治療を行うことにより、患者のQOLを向上させ、効率的かつ適切な医療の提供を促進できることから、日本医師会等医療関係団体や関係学会等と連携して、診療ガイドライン等の普及を図りつつ、最新の医学的知見に基づいた診療ガイドライン等の改訂を推進する必要がある。

また、身近なかかりつけ医が日常診療において必要な、アレルギー疾患の基本的診療技術を取りまとめ、その普及を図ることも重要である。
・ 医学教育においては、全国の医科大学(医学部)の教育プログラムの指針となる「医学教育モデル・コア・カリキュラム」において、「アレルギー疾患の特徴とその発症を概説できる」「アナフィラキシーの症候、診断と治療を説明できる」「薬物アレルギーを概説できる」などの到達目標を掲げていることから、各大学においては、これに基づいた教育カリキュラムを策定し、その充実を図ることが必要である。
・ 臨床研修においても、現在、経験目標の1疾患としてアレルギー疾患が取り上げられており、救急対応等を始めとしたプライマリケアの基本的診療能力としてその正しい知識及び技術の修得に資するものである。臨床研修を受けている医師は自らアレルギー疾患(喘息発作やアナフィラキシーショック等)の診療について経験することが必要である。
・ 日本医師会が実施している医師の生涯教育において、アレルギー疾患の基本的診療技術を習得するためのアレルギー疾患に係る教育が充実されることを望みたい。
・ 小児アレルギー診療に携わることができる人材の育成について、日本小児科学会の取組等も望まれる。
○ アレルギー専門の医師の育成
・ アレルギー疾患に対する診療の全国的な質の向上を図るためには、それぞれの地域にアレルギー専門医又は各アレルギー疾患のそれぞれの診療科(呼吸器科、耳鼻咽喉科、皮膚科、小児科等)の専門医が十分にいることも必要であり、かつその様な情報が適切に更新・公開されることが望まれる。関係学会においては、各アレルギー疾患を専門的に診療できる医師の適切な育成に対する取組にも期待したい。
・ アレルギー疾患の専門的な診療においては、全身的な管理を要すること、全年齢層を対象とすることとなる場合も多いため、総合的なアレルギー疾患専門の医師の存在は重要と考えられ、関係学会においてそのような専門の医師の育成について、その備えるべき技能や具体的な育成の方法等について検討するとともに、適切な技能を備えた専門医師の育成がなされることが望まれる。
○ 医師以外の医療従事者の育成
保健師、看護師、薬剤師及び管理栄養士等においても、アレルギー疾患患者に適切に対応できるよう、知識・技能を高めておく必要がある。
保健師、看護師については日本看護協会の研修において、急性増悪期の看護をはじめ、患者の療養指導および相談対応など看護職に期待される役割を発揮するよう、今後ともより一層アレルギー疾患に係る教育が充実されることが望ましい。
薬剤師については、薬学専門教育のガイドラインである「薬学教育モデル・コアカリキュラム」においても、「アレルギーの代表的な治療薬を挙げ、作用機序、臨床応用、および主な副作用について説明できる」ことを到達目標として挙げている。

アレルギー疾患の患者に対する適切な投薬管理や投与法の指導も、患者の症状安定やその自己管理において非常に重要であるため、薬剤師の服薬指導等の資質の向上に資するような研修会等の取組が推進されることにも期待したい。
さらに、アレルギー疾患にはアナフィラキシーを含む食物アレルギーもあり、個々の患者ごとに適正な食物除去が行われることが重要であることから、管理栄養士及び栄養士についても、アレルギー疾患患者の栄養管理に十分対応できるよう、日本栄養士会の研修等において今後より一層アレルギー疾患に係る教育が充実されることが望ましい

(ウ) 専門情報の提供
国は、アレルギー疾患に関する研究成果等を踏まえた専門的な医学情報については、関係学会等と協力して必要な情報提供体制の確保を図る。

また、専門医療機関等からの相談に対応できるよう、国立病院機構相模原病院の臨床研究センターの相談窓口についても引き続き活用されることが望まれる。