・東京衛研より
http://www.tokyo-eiken.go.jp/kenkyuka/kankyo/index-j.html
・室内環境関連発表内容【2008年度】
【要旨】
大気中ナノ粒子の季節変動及び日内変動
粒径7nm~10μmの大気浮遊粒子濃度を1年間測定し,季節変動及び日内変動について解析を行った.
粒径別に個数濃度を比較すると,年間を通して100nm以下のナノ粒子の占める割合が最も高かった.
季節変動では,冬期にナノ粒子の個数濃度が増加する傾向が見られた.
日内変動については,夏期には午後1時頃に最も高く,夜間に低くなる傾向を示し,冬期には午前9時頃と午後9時頃に個数濃度が高くなる2峰性の変動が観察された.
夏期の日中に増加するナノ粒子はオキシダント濃度と正の相関があることから,光化学スモッグの発生と関連があると考えられた.
これに対して,冬期に増加するナノ粒子は,自動車排ガスに含まれるエンジンオイルに由来するとの報告があることから,冬期の日内変動は,朝夕の凪の時間に排ガスの拡散が弱まり,2峰性の変動を示すものと考えられた.
--------------------------------------------------------------------------------
大気浮遊粒子中の粒径別(7nm~10μm)金属濃度
粒径7nm~10μmの大気浮遊粒子を12ステージに分けて1年間採取し,各ステージ毎に18種の金属を分析し,粒径別の金属濃度を調査した.
粒径別の金属分布については,マグネシウム,カルシウム,鉄等については,主に1μm以上の粒子で検出され,粒径が大きくなるにしたがって金属濃度が増加した.
一方,鉛,カドミウム,ヒ素等については300nm付近の粒子で最も濃度が高かった.
またナノ粒子中からはチタン,クロム,モリブデン等が検出された.
粒径の大きい粒子において濃度が高かった金属種については,土壌由来の可能性が考えられた.
また,粒径300nm付近で高濃度を示した金属種(鉛,カドミウム,ヒ素等)については,主にごみ焼却起源との報告があることから,大気中に放出されるごみ焼却ばいじんが300nm付近の粒径であることが示唆された.