・何についての話か?
「ナノ」は、ギリシャ語で「矮小体」を意味する言葉に由来しているが、そう言われても何のことだか全く分からない。では、こういうのはどうか。
1ナノメートルは10億分の1メートルであり、ナノ粒子は文末のピリオドの何万倍も小さい。
新興ナノテクノロジー・プロジェクト(PEN)―ウッドロー・ウィルソン国際学術センターとピュー・チャリタブル・トラストの共同プロジェクト―は、入手可能な最高の知識に基づきナノ物質の商業化に関する推測を提示する消費者製品目録を管理している。
PENの最新の記録では、ナノ物質を含む製品は現在、30カ国において587の企業により1,317種類製造されている。
こうした製品の大部分はこれまでのところ、一部の食用油やチョコレート香料を除けば、食品ではなく食品貯蔵や調理に関係する食品関連製品、例えばまな板などである。
しかし、この消費者製品目録は全てを包含しているとはとても言えない、と目録作成者は漏らす。
食品産業も他の業界と同様、お抱え科学者を使ったり、外部の専門家と契約したりして、自分たちが製造・販売するものの機能を高めるために、原子より小さい人工構造体が何をすることができるのかを確かめている。
科学的プレゼンテーションや、新たな研究成果に関する何百ものポスターの多くが明らかにしていることは、いくつかの企業が多額の研究開発費を投じてナノを利用し、食物の種の害虫耐性を高めたり、病原菌に対する防御を強化したり、食品包装のセンサーによって腐敗を観測またはトレーサビリティを支援したり、風味を高めて貯蔵寿命を延ばしたりしているということである。
企業の中には、細菌の増殖を抑制し、焼いた食品の鮮度と寿命を保持し、肉をより美味しく保ち、無害ではあるが嫌な臭いを除去し、レシピの砂糖と塩の分量を減らすために、人工ナノ物質をもう既に試しているところもある。