・出展企業の多くは、ナノ粒子を使った心躍る応用例の開発に精を出しているが、そのことについて話そうとしないだけである、とOxleyは説明した。
「ナノ物質による潜在的な健康被害や有害反応に対する懸念が続いているため、みんな自分たちのやっていることについて何も語らないのだ」と彼は言う。
「食品医薬品局(FDA)が食品や包装において何を認め、何を認めないか、もっと明確に示してくれれば、ナノ物質を幅広く食品関連に応用できるようになる可能性が高まるであろう」
世界トップの食品科学者たちがこの年次大会のために集まる1週間前、FDAは規制対象製品にナノ技術が応用されているかどうかについて、当局の見解の概要を示したとされるガイダンスを発行した。
「FDAの規制対象製品にナノ技術が応用されているか否かについての検討」というひどいタイトルのこのガイダンス案に対し、当局はパブリックコメントを求めている。
「このガイダンス案は、ナノ技術へのFDAの取り組みに規制の明確性を持たせるための第1歩となるものである」と当局者は言う。
「ナノ技術は新興技術であり、FDAが規制している様々な医薬品、食品、化粧品にも使用される可能性がある」とFDAの新興技術プログラムの責任者であるCarlos Penaは述べた。
「FDAは、ナノ技術の使用が利益をもたらすことを確保するために、これを監視している」。
一方、FDAがナノについての発表を行ったその日、環境保護庁は農薬製品中のナノ物質が「環境や人間の健康に不当な悪影響を及ぼす」可能性があるかどうか判断しようとしているところであると述べた。(訳注1)
産業界は、ナノ物質の使用の承認をもっと早急に進めるよう、政府に多大な圧力をかけている。
数多くの安全規制当局や公衆衛生団体は、ナノ物質への曝露による健康被害に関する調査が十分に行われていないのではないかと懸念している。
オバマ大統領が1月18日に署名した大統領命令は、目覚しい成長を遂げるナノ粒子の世界の関係者全員が直面している苦境を非常によく表している。
「わが国の規制制度は、公衆衛生、福祉、安全、環境を守らなければならない一方で、経済成長、革新、競争力、雇用創出を促進しなければならず、利用可能な最善の科学に基づいたものでなければならない」。