化学物質の環境リスクの低減に向けた取組2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・(3)有害性、ばく露、リスクに関する情報の不足
市場に流通している化学物質について有害性やばく露、環境残留性に関する情報が不足していることが課題として挙げられます。

我が国では、化学物質審査規制法に基づいて、新規に製造・輸入が行われる化学物質については事業者が事前に国に届け出る仕組みが整備されていま
す。

同法の公布時(昭和48 年)に既に製造又は輸入が行われていた約2 万種の既存化学物質については、これまで国が安全性の点検を実施してきました。

平成16 年度までの調査済み又は調査着手済みの既存化学物質の数は、分解性・蓄積性が1455 物質、人毒性が275物質、生態毒性が438 物質となっています。

また、OECD 高生産量化学物質プログラムにおいて、我が国の政府及び化学業界も積極的に参加して安全性点検を進めています。

今後、産業界と国が連携して、安全性点検をさらに加速化することが必要になっています。

また、化学物質の特性には、免疫系や神経系への影響、他の物質との複合影響、次世代への影響の懸念や、食物連鎖を通じた蓄積性、地球規模での長距離移動性等、科学的なメカニズムが十分に解明されておらず、多様なリスクを評価するための実用性の高い試験・評価方法を研究開発することが課題となっているものもあります。
ばく露に関する情報も不足しています。

製造・輸入量や用途、環境への排出量については、化学物質審査規制法や化学物質排出把握管理促進法に基づき、一部が把握されているのみです。
環境中の残留量についても一部の物質がモニタリングされているにすぎず、環境中で検出されてもその発生源や排出経路、人や動植物へのばく露経路の特定が困難な場合があります。

ばく露の把握に当たっては、排出源や排出経路の多様さ、天然由来の化学物質の存在に起因する地域特性についても、十分な考慮が必要です。

さらに、製品中に含まれている化学物質の種類・量や、製品の廃棄に伴う排出量も必ずしも十分に把握されていません。
化学物質の有害性やばく露に関する情報は、製造事業者や使用事業者が把握していることもありますが、その情報の関係者間での共有が必ずしも十分ではありません。

最終製品に含まれる化学物質についてどのような情報を消費者に提供していくべきかについても課題となっています。
(4)化学物質の特性等に応じた様々な対策手法の必要性
化学物質は、多様な用途に用いられ、製造・輸入から使用、リサイクル、廃棄に至るライフサイクルの各過程で環境に排出される可能性があり、その有害性や環境中での挙動も一様でないことから、化学物質の特性に応じてライフサイクルの各段階で様々な対策手法を組み合わせて用いる必要があります。
事業者の自主的取組と行政によるチェック、情報公開、基盤整備を組み合わせた柔軟な手法から、製造、使用、排出等の規制に至る様々な手法を駆使し、消費者、事業者等の各主体がリスク低減に向けた行動を取るようにすることが課題となっています。
生態系保全に関する化学物質対策は、第二次環境基本計画以降、化学物質審査規制法における規制の導入、農薬の評価手法の見直し、水質環境基準の設定等で進展を見ましたが、評価の対象となっている特定の生物への影響と生態系保全の関係についての考え方、水域以外の生態系の保全のための影響評価の手法、用途・使用形態に応じた管理の考え方等が必ずしも十分に
確立しておらず、その発展が必要です。
さらに、アスベスト問題等の経験を踏まえ、国際的な動向の把握や関連情報の共有を通じ、環境リスクを見逃さないような対策を講ずるとともに、情報公開の徹底により、国民の信頼を確保することが重要です。