・一般演題
気管支喘息 治療1
座長:久米裕昭(近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科)
P1-3-3.喘息のステロイド治療継続による気流制限と呼気中NOの改善
堀内一哉, 笠原慶太, 澁谷泰弘, 井上七重, 石井 源, 青木明子, 丹澤 盛, 鹿間裕介, 中島宏昭
昭和大学横浜市北部病院呼吸器センター
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【目的】症状が安定している喘息において,継続した吸入ステロイド使用の意義について,呼吸機能,呼気中NO,気道壁肥厚のモニタリングにより検討した.
【方法】吸入ステロイドを6ヶ月以上使用し安定している喘息患者48例について検討した.
呼吸機能検査,呼気中NO測定,HRCTにて気道壁の厚さを計測した.
さらに吸入ステロイド治療を半年以上継続後に同様の評価を行った.
【成績】吸入ステロイドの継続使用により,中枢気道よりも末梢気道の気流制限は改善率が高かった,また,呼気中NOも有意な低下を認め,特に観察開始時の呼気中NOが高値の症例では末梢気道の気流制限の改善傾向も強く認められた.
気道壁の肥厚は有意な改善は認められなかったが,気流制限とは負の相関を認めた.
【結論】吸入ステロイドの使用継続により,臨床症状が安定している喘息患者では気道壁の肥厚は有意な改善は得られなかった.しかし,呼気NO値の改善と呼吸機能の改善は有意に認められた.
このことは,喘息患者において気道リモデリングの改善は認められないが,末梢気道の炎症を抑え呼吸機能のより充分な改善を得るためにはある程度の長期にわたる吸入ステロイドの使用が必要であることを示している.
第22回日本アレルギー学会春季臨床大会 2010年5月開催