・■朝日9月25日 ニュースがわからん!ワイド お米や野菜のセシウム、気になるわ 「移行係数」を調べると、含まれる量がわかるよ
アウルさん お米や野菜が放射能に汚染されていないか気になるわ。植物って根っこから土の中の放射性物質を取り込むそうね。
A 土の中にある放射性物質を植物がどれだけ吸収するかという割合のことを「移行係数」というそうだよ。
野菜やお米では、食べる部分に含まれる放射性セシウムの量を測って、移行係数を調べている。
コブク郎 移行係数を調べてどうするの?
A 土に含まれるセシウムの量と移行係数が分かれは、収穫前に野菜や米にどれくらいセシウムが含まれるかおおよそ予想できる。
ホー先生 野菜ごとにずいぶん違うようじゃが。
A 土の中のセシウムは、植物の栄養になり肥料としても使われるカリウムとよく似た性質がある。
カリウムを多く必要とする植物はセシウムも吸収しやすい。
それにカリウムは葉や根にたまりやすいので、葉や根を食べる野菜は値が大きくなりやすいそうだ。
コ 同じ植物でも、部位によってばらつくのかな。
A たとえば、お米の場合、セシウムが含まれる割合は、ワラに73%、ぬかに10%、もみ殻・白米に各7%-と続く。
精米するほど汚染がなくなるそうだ。
ア ストロンチウムはどうなの。
取り込むと骨にたまりやすいって聞くけど。
A ストロンチウムはカルシウムに似た性質がある。
注意して影響を調べていく必要はあるけど、セシウムよりはるかに放出量は少ない。
チェルノブイリ原発事故を参考に、当初は、セシウムの10分の1ぐらい出ていると予想されていた。
ところが、文部科学省の調査では1千~1万分の1ほどだったそうだよ。
ホ 土の種類によっても移行係数は違うのかな。
A そのようだね。
日本では森林や畑、田んぼで土の種類が違う。
関東地方のように火山灰土の土もある。
日本と海外でも違う。
今回の事故を受けて、福島県では県内の土を使った調査が進んでいる。
県内の土で育てたキャベツの移行係数は0・0004~0・0096。
コマツナは最大0・0022だったそうだ。
ホ 値のばらつきは土の何が違うんじゃ。
A 一番大きいのは粘土と粘土の中にある鉱物の割合だというよ。
粘土の中の鉱物、例えは雲母などにセシウムは強く結びつきやすいそうだ。
一度結びつくとなかなか離れないので、セシウムが植物に吸収されにくくなる。
ア 原発事故が収まれは、米や野菜に含まれるセシウムは減るのかしら。
A 汚染された食品が出回らないように規制する暫定的な基準はある。
事故後間もない3~4月と比べるとセシウムの放出量は減ったので、出荷停止になっている野菜も減った。
これからは土の表面に集まったセシウムをはぎ取るなどして取り除いていく除染作業も始まるようだよ。
コ セシウムを含んだ 土を取り除けば、汚染されないようにできるの。
A そうだね。そうすれば、食物に移行するセシウムをなくせる。
ただし、粘土には土の栄養分がたっぷり含まれているので、あまり取り去ってしまうと櫃物が育ちにくくなる。
別の所から栄養のある土を持ってくる必要もあるようだ。それに、以前と同じ品質の野菜が作れるかは分からないという悩みは残るんだ。(杉本崇)