・3-2 診察方法 望診
漢方診察の特徴の一つに舌診がある。漢方では舌の状態から全身の状態やバランス異常をうかがい知ることができる。
舌診で観察するポイントは、舌の全体の状態、舌の色調、舌の大きさ、形態、乾湿、舌苔の状態などを参考となる。
舌の色調
【淡紅色~淡白紅色】貧血症・組織浮腫 漢方的には気血両虚【紅色~深紅色】急性熱性疾患【紫がかった状態】血の道症など,漢方的には瘀血
3-3 診察方法 切診
漢方の診察法は望聞問切の四つの診察法により成り立っている。
そのうち、切診は触覚を用いた診察である。
切診の代表が脈診と腹診である。
脈診は現代医学では脈拍数、緊張度、不整などを認識する。
一方漢方では脈の性状から病態を把握する。
腹診は江戸時代の医師の経験により我が国で大きく発達し日本漢方では大変重視される所見である。
脈診
【浮脈】皮下に血管が浮いていようで、指を軽く当てるだけですぐにはっきりと触れる
【沈脈】指を軽く当てただけでは拍動を触れず、深く圧迫して初めて触れる脈 【実脈】按圧している指を力強く押し返してくる力のある脈
【虚脈】按圧している指を力強く押し返してくる力のない脈
腹診
漢方医学の腹診では、患者を仰向けに寝かせて、両足を伸ばさせ、手を両脇に軽く置かせ、腹部に力を入れないようにさせる。
【心下痞硬】鳩尾がつかえるという自覚症状、同部位の抵抗・圧痛
【胃内停水】鳩尾の腹壁を軽く叩くとピチャピチャと音がする所見
【胸脇苦満】両側もしくは片側の季肋部辺縁を中心に出現
【腹皮拘急】腹直筋が過度に緊張した状態
【小腹不仁】下腹部が軟弱無力、圧迫すると腹壁が容易に陥没する。
【正中芯】腹部正中線上の皮下に索状物を触れる