・ミニシンポジウム26
気管支喘息―治療3―吸入ステロイド療法による治療―
座長:松永和人1), 佐野博幸2)(和歌山県立医科大学医学部第三内科1), 近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科2))
MS26-#1.吸入ステロイドが成人及び小児気管支喘息患者の経年的呼吸機能に与える影響
下田照文 今岡通厳 岸川禮子 岩永知秋 西間三馨
国立病院機構福岡病院アレルギー科
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(目的)成人及び小児気管支喘息患者の予後調査の目的で呼吸機能の経年的解析を行った.
特に,吸入ステロイドが喘息患者の呼吸機能の低下を防止できるかどうかを検討した.
(方法)対象は,10年以上継続して通院中の成人及び小児気管支喘息患者1,093例(成人856例,小児237例)であり,カルテをretrospectiveに解析した.(結果)成人喘息では,初診時すでに%FEV1.0は正常値以下であったが,吸入ステロイド導入により10年後には有意の低下を認めなかった(72.5±24→80.1±29%;P=0.054).
小児喘息では,吸入ステロイド導入により10年後に%FEV1.0は有意に上昇した(82.3±22→91.7±28%;P=0.02).
しかし,成人及び小児の両群で,吸入ステロイド導入時に重症で罹病期間が長い症例では10年後に%FEV1.0の有意の低下を認めた(成人:77.4±18→60.5±17%;P=0.03:小児:89.2±25→68.5±27%;P=0.045).また,喫煙者では10年後に%FEV1.0の有意の低下を認めた(75.9±22→67.9±20%;P=0.04).
(結論)成人および小児喘息で,発症早期で軽症の時期に吸入ステロイドの導入により呼吸機能の低下は防止可能である.
しかし,喫煙者では吸入ステロイドの予防効果は減弱する.
第59回日本アレルギー学会秋季学術大会 2009年10月開催
runより:喫煙者に受動喫煙が入っているか不明ですが、タバコに近いと良くないのは確かです。