化学物質不耐性患者の深い皮質下(大脳辺縁系を含む)の代謝亢進:ヒトPET の研究
神経中毒的な傷害は記憶、認識機能、共同運動、バランス、また行動に障害をもたらすことが知られている。
さらに患者は化学物質に対して過敏性を獲得することもある。
化学物質に対する反応には広範囲のものがあり、苛立ちや、パニック障害を含めた非合理的な行動を伴った情緒的な不安定性まである。
Bell、Sorg 等は大脳辺縁系の関与を示唆しているが、その際にはキンドリング(閾値以下の刺激でも繰り返した刺激で反応を引き起こすことーー訳者注)を伴い、上記反応の機構を説明可能のものである。
7名の成人患者をPETで検査した。
これら患者は有機溶媒、殺虫剤や各種神経毒暴露後に発症し慢性の経過をたどっている患者である。
PET にはF-18 deoxyglucose を使用した。性、年齢をマッチさせた健常者のデータ-と比較した。
大脳皮質の多くの部分で有意な代謝低下が認められた。
過去のSPECT による大脳皮質血流障害の結果と一致するものである。
一方扁桃核を含めた大脳辺縁系やその近傍では代謝亢進が証明された。
代謝亢進は小脳、視領野、さらには下方の脳幹にも及んでいた。
代謝亢進は発作を意味し、片縁系の発作はパニック発作を意味している。
結論として、化学物質不耐性の患者の行動学易異常や認識力の異常のような臨床症状は前記の所見で説明出来るということである。
われわれのPET の所見は1999 年に報告したが、印刷はしていない。
化学物質不耐性の他の側面は、化学物質暴露が肥満細胞を活性化し、極端な場合にはmastocytosis を引き起こすことは、これまでのわれわれの過去の所見で説明できるであろう。
本態性多種化学物質過敏症・慢性疲労症候群・心的外傷ストレスの共通の病因に関係する、一酸化窒素、ペルオキシナイトライト上昇機序
MCS や化学物質不耐性において、多くの証拠が一酸化窒素や酸化体や、おそらくペルオキシナイトライトとの関与を示唆している。
以前慢性疲労症候群でいわれてきた正のフィードバック機構により、いくつかの報告されている特質だけでなく、MCS(CI)の慢性的な特徴を説明できるであろう。
以前にMiller は、「我々は新たな疾病理論の出発点に立っているのだろうか。」と問いかけたが、今回の研究で、一酸化窒素、ペルオキシナイトライト上昇機序は、新たな疾病の枠組みから成る機序であるという可能性を高めていると思われ、その問いに答えるものなのかもしれない。
runより:以上でこの論文は終了です。
まだ途中感が漂う内容ですが、その分自由な発想が出ていると思います。
今後もこの分野は追いかけていこうと思います。