サイトカインにより誘発される疾病行動:機構と連携
疾病行動(sickness behavior)とは感染症の経過中に病気になっている患者に起きる一連の同調してくる行動の変化を意味している。
分子レベルでみれば、この変化はIL-1(interleukin-1)やTNF-α(tumor necrosis factoralpha)のような炎症性のサイトカインの脳への影響によるものである。末梢で放出されたサイトカインは、炎症の起きている部分を支配している求心神経線維の速い伝達経路を介して脳に働く。
また遅い伝達経路としては、脈絡叢や脳室周囲の部位から生じて、脳実質に大量にサイトカインが拡散される経路がる。
行動的なレベルでみれば、疾病行動とは感染病原菌と戦う組織を認識する中枢神経の動機付け状態の表現として考えられ得る。
疾病の動機付けの状態は他の動機付けと干渉しあい、そして過敏性獲得とか古典的な条件付けといわれるような非免疫的な刺激に反応することが知られてきている。
とはいえ、この疾病の動機付けの状態の可塑性に関する機構に関してはいまだ分かっていない。
化学物質不耐性と関連した症状の説明可能な機構
化学物質不耐性の症状はそれのみの孤立した症状としても起きるが、しばしば他の疼痛、疲労、記憶障害などの慢性症状と一緒に起きてくる。
このため、個々人にしばしば起きるこの多彩な症状は、多種類化学物質過敏症、線維筋痛症、慢性疲労症候群、そして湾岸戦争症候群のような種々の慢性の多くの症状を抱えた症候群として定義されてきた。
これら症候群の研究を集めてみると、これら症状を引き起こす何らかの統一した機構が存在していることが示唆される。
種々な方面からの研究結果は、自律神経系、および視床下部―下垂体系のような非常に多くの遠心性神経経路の機能異常がある範囲のこれら患者にあることを示している。
多数の感覚器刺激に対して「不快の閾値」が低いという、感覚情報処理の異常についての証拠が最も多数集まっているといえる。
これら疾患の発症や慢性化に精神的な、また行動的な因子が重要な役割を果たしていることが知られている。
痛覚研究の分野では、症状の発現に身体と精神との間に緊密な関係があることが知られている。
すでに確立している方法や新しい方法により、警戒や期待ののような精神因子が線居維筋痛症のほとんどの患者では小さな役割しか果たしていないこと、そして感覚器の刺激性が精神的な意味でなく身体的な意味で増大していることが明快に示されている。
これらの研究はさらに多くの感覚器について推し進め、またもっと多数の患者を対照に推し進める必要がある。
とはいえ、もし症状のみお基盤とした考え方でなく、例えば化学物質暴露を避けたがるというような行動によってこの疾患を定義しようとすると、精神的な関与が非常に大きく評価されるようになる可能性があることには注意しておいた方がよい。
runより:これにて第2部終了です。
化学物質不耐性には関心が高まるばかりです。
不耐性というと耐性0という意味に見えますがそんな人間は生きていけません。
ある程度の耐性はあるが、許容量は低いというのが正確かと思います。
そう、バケツ(コップ)理論に繋がるのです。
バケツからあふれるとどうなるのか?
何故個人差があるのか?
自称化学物質過敏症研究家としてはバケツ理論は途中からの説明に過ぎず、根底には色々眠っていると考えています。