反復するオピオイド暴露による脊髄の神経可塑性と病的痛みへの関係
脊髄に反復してオピオイドに暴露すると神経の可塑的変化が起きることが確実となってきている。
そのような可塑的変化は細胞レベルでも、細胞間レベルでも引き起こされる。
N-methyl-D-aspartate(NMDA)受容器の活性化が、反復したオピオイド暴露による神経可塑性の展開に中心的役割を果たしていることは一般的に受け入れられている。
細胞内のカスケイド反応は、またNMDA 受容器の活性化に続いて活性され得る。
特にプロテインカイネ-スCは神経可塑性変化の行動表現の細胞内キー要素であることが示されてきている。
さらに、NMDA とオピオイド受容器の相互干渉が、オピオイド耐性の発達に伴って脊髄に神経の強力な不可逆的変成をきたし得る。
興味あることに、末梢神経損傷でも同様の脊髄細胞レベルおよび細胞間レベルの変化が認められる。
これらの所見は、一見なんの関連もない二つの条件、すなわち慢性オピオド暴露と病的な疼痛状態の間に、脊髄内では神経構築に相互作用が発揮されていることを示している。
これらの結果は化学物質不耐性、本態性多種化学物質過敏状態、さらにはオピオイド鎮痛剤の疼痛療法の臨床的応用の機構の理解するために有用と思われる。
第四章 サイトカイン、慢性疲労症候群、および疾病行動
サイトカインと慢性疲労症候群
慢性疲労症候群患者は免疫系の活性化が認められる。
すなわち、cytotoxic T cell を含めた活性T リンパ球数増加、そして循環サイトカインレベルの上昇である。
とはいえ、慢性疲労症候群患者の免疫細胞機能の情報は貧しいもので、natural killer 細胞細胞毒性(NKCC)の低値、マイトゲンに対する培養リンパ球反応の欠乏、そして時にIgG1 とIgG3の欠乏が最も多い免疫グロブリンの欠乏がしばしば認められという程度である。
いわゆるT ヘルパー細胞type2 や、炎症起因性サイトカインの増加を示すという慢性疲労症候群の免疫異常は、一時的であったり、また潜在性のウイルスや細菌感染症による身体的および精神的機能障害の原因や結果であったりする。
これら因子の相互作用が緩回と悪化を繰り返す本症の恒久化に関係しているのかもしれない。
ヘルパーT 細胞type2 の優位は湾岸戦争症候群患者に認められている。
また本態性多種化学物質過敏状態のような関連疾患でも認められるかもしれない。
この視点からの治療への介入法は、サイトカインを好ましい状態に、そして免疫系を望ましい状態に導くこととなる。
runより:慢性疲労症候群が出てきましたね。
この疾患は炎症によって起こされると私は考えています。
しかし暴れるのは免疫でも指令は自律神経から出てます。
化学物質過敏症も化学物質不耐性によって引き起こされる疾患グループの1つであると考えています。
但し、原因はそれだけでは無いとも考えています。