化学物質不耐性における神経の可逆性:第2部2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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痛みの反応の過敏性獲得における神経伝達物質の役割
キャプサイシン(トウガラシの成分――訳者注)の皮内注射は痛みを引き起こす。

一次的な熱や、機械的刺激に対する痛覚過敏、そして二次的な異疼痛(普通は痛くない刺激で痛みを感じることーー訳者注)や痛覚過敏が生じる。

二次的な異疼痛や痛覚過敏が生じている部分の感覚受容器は障害されていない。

そのために、この二次的な感覚器の変化は、キャプサイシン注射により引き起こされた最初の強力な痛みを受容できるような中枢神経の刺激放出によるに違いない。

脊髄―視床路神経の反応の中枢神経の感受性獲得は数時間持続する。

しかし、この過敏性は非NMDA(N-methyl-D-asparate ― ― 訳者注) やNMDAglutamate 受容器拮抗薬、そしてNK1 サブサタンスP 受容器拮抗薬の脊髄投与によって予防できる。

脊髄―視床路の細胞の長期に持続する刺激性亢進は、種々な二次的なメッセンジャーのカスケイド反応系(PKC、PKA、そしてNO/PKG 信号伝達経路)の活性化によるものである。

また、被刺激性の変化はカルシュウム/カルモデュリン依存性カイネ-スII の活性化にもよる。

この酵素は中枢神経の感受性獲得の長期持続性であることの確実な証拠となっている。

中枢神経系の可塑性と病的疼痛

痛覚の従来の説は痛みは体の受容器から脳への直接の伝達により生じるとされてきた。
受信された痛みの量は、末梢の障害の程度に直接比例するとされてきた。

しかし、最近の研究ではさらに複雑な機構が関わっていることが明かになってきている。

臨床的な、また実験的な研究では、有害な刺激は、痛覚に関与する中枢神経機構を感作するかもしれないことが明らかになってきている。

この臨床的な好適な例として、四肢の切断患者が、切断する前と類似した、または同様な感覚を示す痛みの幻影を感じることや、手術時に術前の鎮痛剤が術中に起きる痛みをブロックしたりする中枢神経作用を挙げることができる。実験的な例としては、感作の発生、ワインドアップ、中枢神経の感受性領域の拡大、さらには障害組織のブロック後に生じる屈曲反射の増大や痛みや痛覚過敏が生じることなどを挙げることができる。

痛みの感覚は瞬間瞬間の有害刺激の知覚の単純な結果ではなく、過去の経験の効果によって影響されるものである。

感覚の刺激とは、過去の入力に影響され、行動という出力は過去の事件の「記憶」によって大いに影響されるものである。

末梢の障害や有害な刺激によって引き起こされる中枢神経の変化の理解が将来進むと、病的疼痛の予防や治療に新しい展開がもたらされるであろう。


runより:キャプサイシン(カプサイシン)は弱性刺激物として化学物質過敏症の検査にも使われます。

刺激物を摂らないほうが良いと言われてるのは説明にある通りです。