・ 実験で、いい物が安くつく方法も見えてきた。
一例がかつお節。
上質の本節は一本が約1600円だったが、スーパーで最も安いカツオパックは一本分と同じ量だと約1900円にもなる。
百グラム千円の有機茶葉も、一晩水に浸せば、500ミリリットル分が25円以下で作れる。
いい物で安いなら言うことないが、壁となるのが準備の一手間。
長年、食べたい物を食べたい時に…という生活を続けた私は、「事前に削る」「一晩浸す」といった段取りが苦手だ。
割高でも、便利な物を選びたくなる。
そもそも、実験中に最も「高くついた」と感じたのは、買った野菜を腐らせたときだった。
いい物を食べていけるかどうかは、「段取り力」「保存の技」の有無も大きいようだ。同時にそれは、食糧危機が来た場合に身を助けるすべにもなる。
連載では、いろんな実践例を紹介したい。
■食卓シリーズ 第12部 価格の向こう側・私たちの生活防衛術
(2009/2/17~2/25掲載)
1. 買い物実験 いい食材は高くつく?
2. 連続ドラマ 台所をリストラする技
3. しまつの技 貯めては腐らす冷蔵庫
4. 貯める技 鍋釜なくして安定なし
5. 蓄積 台所仕事がビジネスに
6. 買い物 社会に一票投じる行為
7. 流通 価格差を超える売り方
8. 記者ノート 「買って守る」消費者に
■食卓の向こう側第12部 価格の向こう側
携帯電話代やレジャー費、菓子代など、そうした「家計から減らせないもの」の出費に押されて底値買いで削られていく食費。
「家計の都合」を背景に、生鮮食品までが、まるで家電製品かのような激しい底値競争に巻き込まれています。
その構図が、正直な生産者やメーカーを追い詰め、ますます偽装を生みやすくするのではないだろうか。
本書は、そんな疑問を提示することからスタートした連載「価格の向こう側」(2008年12月16日―25日、09年2月17日―25日)を中心に、連載の内容をテーマにしたシンポジウムの詳報、取材班に寄せられた読者の声や関連資料を収録し、再構成しました。
モノの価値と、地に足のついた生活防衛術について考えます。
A5判(ブックレット)、96ページ、
定価500円。