・食卓の向こう側・第8部 食育=読者の声
生きる力育てる教育を 「おかげさま」考えよう
●学校の役割 家庭科の授業見直すべき
生きる知恵を伝える場として学校に期待。
とりわけ家庭科の見直しの重要性を訴える意見があった。
「短大で調理関係の科目を教えているが、調理技術が低下していく学生を見ていると、日本の将来に憂いを抱く。
ペパーミントエッセンスを『歯磨きのにおい』、キンモクセイのそばを通って『トイレのにおい』と言うことなども、体験の少なさを物語っている。
昔は、凝った料理でなければ見よう見まねでできていたと思う。
親が料理をする姿を見なくなり、学校でも教えられないなら、できないのは当然かもしれない」 (女性)
「学校は、教師にも食育をしてほしい。
教師がきちんと『食』を学んでいれば、少しずつ子どもたちにメッセージを送れると思う。
私も『個性的であれ』とか『いい大学に進み、いい企業に就職するのが良い人生』というメッセージを親や学校から送られ、育てられてきた気がする。
基本的な学問も大切だが、子どものときは、生きていく上で最低限必要な『食』や『命の大切さ』を学ぶべきだと思う」(福岡県田川市・女性・29歳)
「子どもは男の子ばかりだが、三歳のころから包丁を持たせている。
『食べる』ことに男女の差はなく、年齢差もなく日本では女子は十六歳、男子は十八歳で結婚でき、子どもが持てる。わが子が十八歳になったとき、父親になれるのか。
乳飲み子に、平気でハンバーガーを離乳食として与えるような父親では子どもは育たない。
学校教育の中でも、子どもを育てる力をはぐくむため、家庭科をもっと見直すべきだと感じた」 (女性)
「母乳育児の支援をしている。ある若い母親は出産して九カ月。ずっと、体内で固まる脂を食べないようにしているが、まだ、お乳はつまり気味だ。私の話を聞くまで、食事は肉類中心で外食が多かったとのこと。この母親は『妊娠中はお産のことしか考えられず、産後のおっぱいや食べ物については、どこか遠い話のように思えていた』と話した。
いつ食について学ぶのが効果的か―。
母親たちとそれぞれの経験を振り返り、『幼稚園から大学まで、もっと家庭科を重視しなければならない』という結論になった」 (福岡県・助産師女性)