●半歩先宣言 気づいた人ができる範囲で
時間に追われる暮らしの中で食の大切さを見つめ、どう、子どもに伝えるか。できることから始めたいという「半歩先宣言」が寄せられた。
「わが家も『学び』に重きを置きすぎていると、あらためて反省した。次の休みには、小学生の子どもたちと買い物から一緒にし、台所を任せてみたいと思う。ちょっとワクワクしている」 (福岡市・女性)
「『弁当の日』の記事を読み、その気になれば決して難しいことではないなどと自問自答。
短大で教えているが、調理実習の復習を兼ねて週一回、弁当作りをさせ、その成果を自由献立のときに発揮させようかと胸を膨らませている。
もう、誰の責任とか、どこですべきだとか言わず、気づいた人が、良いと思うことをできる範囲でするしかない」 (女性)
「ご飯粒をたくさん茶わんにつけたまま食事を終えた息子に、『農家の人が悲しいって泣いちゃうよ』と話した。
汗を流して働く農家の人の姿が頭に浮かんだかは分からないが、その後、残さず食べるようになった。
食べ物にはたくさんの人がかかわり、思いがこもっていると、子どもなりに感じてもらうことが大切。食事の会話を楽しみながら、少しでも伝えていきたい」 (愛知県・女性)
「保育園に通う娘の弁当には、いつも野菜の煮物を入れている。
地味で恥ずかしいのでは、と先月の遠足の前に『お弁当は何がいい』と聞くと、『レンコンさん入れてね』と言われ、驚いた。
離乳食のころから、『お野菜を食べなさいね』と言っていたが、娘の言葉を聞き、(“地味弁”の)記事を読んで、『良かったのかな』と思った。
これからも、わが家風“地味弁”でやっていきたい。、にこやかにお弁当を食べる姿を想像しながら」(長崎県諫早市・女性・39歳)
■「おかげさま」考えよう
●家庭の食卓 保護者同士、助け合って
家庭の食卓についても、理想への意見や問題提起の声が寄せられた。
「二人の子どもがいます。在宅で仕事をしていますが、冷凍食品や総菜を使わず料理するというと、『家にいて暇だから』『古くさい』などと言われます。
私も、時間があり余っているわけではなく、作り置きなど工夫します。
男性と対等に働こうとする女性がもてはやされ、家庭を守ろうとするタイプはばかにされる。食育と同時に、これらの現状を変えるよう働き掛けないと、『素材から料理するなんて時代遅れ』となりかねません」(主婦・30代)
「漁港に魚を買いに行き、『さばいてください』と言うと、おばちゃんに断られました。
『いつまでも人に頼らず、失敗してもいいから自分でさばきなさい』と。
初めてさばいて失敗したけど、骨までおみそ汁に使い、残さずきれいに食べきりました。
まだ料理修業中ですが、(連載二回目に掲載した)八百屋の女性のように、みんながいつでもご飯を食べに寄れるよう頑張ります」(宮崎市・主婦・29歳)
「子どもの小学校の保健教諭がこんな話をされました。『パンを持ってきて、青くふらふらしている子に食べさせてます。そんなお宅に、朝ご飯を食べさせてはどうですか、なんて言えません。仕事でくたくたなのにこれ以上何をしろと言うのか―とキレられます。だから、保護者同士が助け合ったり、アドバイスするネットワークをつくってほしい』。
(連載二回目に掲載した)城浜団地の例は、あったかい理想のネットワークですね。
そんな関係を作ることができれば、救われる家庭は多いはずです」 (福岡市城南区・主婦)
「わが家では、朝食は祖母が作っていた。
炊きたてのご飯を『どうぞお召し上がりください』と仏前に運ぶのは子どもの役目。
家族全員がそろって『いただきます』『ごちそうさまでした』。
だしのきいたおみそ汁とみずみずしい漬物だけでも必ずおかわりした。
祖母は孫たちに『お百姓さんに感謝、お天道さまに感謝、ご飯が食べられる幸福に感謝』と教えた。
学校もまともに出てはいない祖母だったが教わったことは多い。
『おかげさま』『感謝』『足るを知る』―。大人になり、それがどんなに大事なことか痛感している」(福岡県春日市・主婦・44歳)