・終戦時、一日千四百キロカロリーの食料で生き延びた日本人。
六十年後、その半分近くの食料を口に入れないまま捨てている―。
農水省の「食料需給表」(一人に食料が供給された量)と、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(一人が食べた量)を基に推計すると、日本人は一人当たり一日七百二十五キロカロリー(供給量の約28%、〇三年度)を食べ残している。
全国民分を合わせると、なんと四千万人を超える大人に食料提供できる量だ。
食べ残しは、処理費の無駄でもある。
家庭の生ごみのうち、食べ残しだけでもゼロになれば、年間千八百二十五億円(〇三年度)のごみ処理事業経費が節約できる計算だ。
同じ地球上では、八億人もの人々が栄養不足に苦しんでいるというのに…。高月は、訴える。
「日本人のライフスタイルは犯罪的。リサイクルより前に、膨大な食べ残しを減らすことが先決です」 (敬称略)
家庭ごみの約38%、事業系ごみの約31%が生ごみ(環境省調べ)という飽食日本。
「もったいないけど、しょうがない」という感覚とともに、食べられるものが日々「ごみ」に変わっています。
「食卓の向こう側」第七部では、未来世代によりよい社会を手渡すため、生ごみを通して、私たちの暮らしのあり方、そして、循環型社会へ向けた半歩先の行動を考えます。
(2005/11/27 西日本新聞朝刊)
■食卓の向こう側(7)
2005年11月27日から12月14日にかけて本紙で連載した「食卓の向こう側 第7部 生ごみは問う」を中心に、12月17日に行われたシンポジウム「生ごみは問う―食べ残しと循環型社会」の詳報、連載に寄せられた読者の感想や関連資料を添えて再構成しました。
家庭から出る生ごみを使った簡単な無農薬野菜の作り方も収録。
A5判ブックレット/500円