食卓の向こう側・第7部2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・●4千万人分の食 無駄に

 一人一人の「仕方がない」が積み重なった総量はどれだけだろう。

誰もがふたをしたがる「臭い物」の代表選手・生ごみの現状は、実は、なかなか分かりにくい。
 農林水産省が、「食べ残しや廃棄の実態を明らかにする」とうたっている「食品ロス統計調査」がある。ロス率は非常に低く、二〇〇四年度は外食産業で3・3%、一般家庭で4・2%にとどまった。

一方で、環境省が試算した生ごみ量は一般廃棄物の34%という。

魚の骨など食品ロスに含まれない調理くずも交ざっているとはいえ、差が大きすぎる。

その理由は、調査のやり方だ。
 外食産業の調査は、レストランや食堂の、それも昼食だけが対象。

十月下旬、ピンセットとはかりを用意した九州農政局の職員三人がある食堂の残さいを調べた。

だが、食べ残しはほぼゼロ。

「昼食はみんなしっかり食べますからね」と担当職員。
 家庭の調査も、「協力者が少なく、毎年同じ家庭にお願いすることも多い。

すると、意識が上がるのか食品ロスが減る傾向がある」(同職員)

それが実態だ。

  「ぐちゃっとして臭い生ごみを見たい人はいないから、国の調査も難しいんです」
 そう語る石川県立大教授の高月紘(廃棄物学)は、学生と3K(臭い、汚い、根気がいる)の調査に取り組んだ“ごみ博士”。京都大教授だった一九八一年から〇二年にかけて、京都市の家庭の生ごみを細かく分類した。
 ごみから見えた日本人のライフスタイルに、高月は驚(きょう)愕(がく)した。〇二年、生ごみの約四割が食べ残しで、その約三割はまったく手付かずだった。

さらに、手付かずの約六割は、賞味期限前。

バブル崩壊後も、食べ残しが減らないのはどうしたことだろう。
 科学技術庁(当時)は一九九九年、日本全体で食べずに捨てられている食品を金額に直すと、年間十一兆円に達すると報告した。

これはまさに、日本の農業と水産業を合わせた生産額とほぼ同じ規模だ。
 作った食べ物を丸ごと捨て、金任せに外国から輸入し続ける「放食(ほうしょく)」日本。

食料自給率が先進国最低の40%に落ち込み、生産者の汗すら見えないこの社会では、「罰当たり」と怒る声も弱々しい。