日曜日の夜はたいがい家族で外食する。
良美が今週、夕食で台所に立ったのは三日。炒(いた)めものや長男が喜ぶ焼きそばを手早く料理、冷凍食品を“チン”して添えた。
残業があった二日は、総菜を買った。
「夫は掃除、洗濯を手伝う人ではないから、家事はすべて私の負担。料理にかける時間はできるだけ省きたい」のが本音だ。
良美は、夜中に突然息が苦しくなり、あわてて夫が病院に運んだことがある。過呼吸症候群。
「原因はストレス」と医者に言われた。時々、カラオケで気晴らしする。夫は肥満気味で、会社の健康診断では「中性脂肪が多い」。長男は今年二回、朝礼時に気分が悪くなった。
担任から「寝るのが遅れ、朝食が食べられない悪循環になっているのでは」と注意された。
「もう少し子どもにかまってやりたい」と良美は思う。
でも、家のローンは残っているし、長男の学資も必要だ。
「こんな時代だから、夫も自分もいつリストラされるか」分からない不安も。
このレールから外れるわけにはいかない…。
内山家の「食」の風景。あなたは何を感じましたか。
私たちの食生活は昭和三十年代を境に大きく変わりました。
肉、牛乳、パンなど洋風化が進み、インスタントラーメンといった手軽な食品も次々に誕生。
ファミリーレストランをはじめとする外食は、今や二十四時間オープンが珍しくありません。
お金さえ出せば、なんでも食べられる“豊かな食”の一方で、糖尿病などの生活習慣病は急増し、最近は若年層にも広がっています。
企画「食卓の向こう側」では、私たちの「食」が問いかけているものを探っていきます。
■生活の充実感は家族だんらんがトップ
「2003年国民生活に関する世論調査」(内閣府)によると、生活の充実感を感じるのは「家族だんらんのとき」が最も多く43・3%。また「日常生活で悩みや不安を抱えている人」は67・2%で、その内訳は「老後の生活設計」(50・0%)、「自分の健康」(46・3%)、「今後の収入・資産の見通し」(41・7%)、「家族の健康」(38・4%)の順だった。
(2003/12/17,西日本新聞朝刊)