ナノ消費者製品と表示6 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・3.消費者の権利

 2009年11月17日Nanowerkの記事[13]はノルウェー国立消費者研究所(SIFO)の二人の研究者が2009年11月に発表した消費者の権利に関する論文[14]を紹介しています。

3.1 消費者の信用と支持
 ナノ対応の市場製品に関する消費者の反応と影響は重要であり、もし、これらの製品が不具合や深刻な健康や環境へのダメージを起こせば、消費者の信用と支持を失い、将来性のあるこれらの技術の更なる開発に重大な影響を及ぼすとしています。

したがって、高い投資がなされ将来性のある新たに出現しているナノテクノロジー市場における消費者の権利を検証することは重要であると述べています。

3.2 消費者の4つの権利
 ナノテクノロジー世代における消費者の権利は自明ではなく、強化されなくてはならず、消費者に権限を与え保護するために、消費者の権利はある程度、再定義され、確実に消費者の手に復権させなくてはならないと主張しています。
 二人の分析の出発点となっているものは1962年3月15日に当時の米大統領ジョン F.ケネディが議会で行った消費者の利益保護に関す演説の中で提唱した有名な4つの基本的な消費者権利です[15]。

二人の基本的な考えは、これらは消費者が目を向けるべき権利であり、消費者はそれらが侵害されている場合には当然の権利として主張することが出来るという原則です。

安全が保証される権利 (The Right to Safety)
情報が与えられる権利 (The Right to be Informed)
選択する権利 (The Right to Choose )
意見が聞き届けられる権利 (The Right to be Heard)
 私達は消費者として、ナノ製品について、この4つの消費者の権利が侵害されていないかどうかを考えることが重要です。

ナノ製品はテストが行われ安全が保証されているか?
製品にナノに関する情報が表示されており、安全情報は公開されているか?
ナノを含まない製品を情報に基づいて選択することができるか?
ナノ安全管理の検討や政策策定への市民参加やパブリックコメントの実施が行われているか?

 現状のナノ製品/ナノ安全管理は、この4つの権利のどれひとつも満たされていないことが分かります。

4.日本における消費者製品の表示

4.1 消費者製品に関する表示を規定する法律
 一般消費者が日常的に使用する消費者製品に関する表示を規定する法律には、薬事法、 食品衛生法、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)、家庭用品品質表示法などがありますが、もちろんナノ物質の表示を義務付けているものはありません。
 例えば薬事法では、化粧品は全成分表示が求められますが、医薬部外品は指定表示成分(例えば、かぶれ成分が多いものなど)の表示のみでよいことになっています。

しかし成分のサイズに関する表示要求はないので、ナノ物質の表示は求められません。化粧品及び医薬部外品については日本化粧品工業連合会が基本方針と自主基準として成分表示名称リスト[16]を作成しています。

4.2 製品中のナノ物質の表示を求める
 当研究会は、新たな「ナノ物質管理の包括的な枠組み」の構築と、その段階的な実施を提唱しています[17]。実施の第一段階では下記を求めています。
(1) 製品に含まれる全てのナノ物質成分のラベル表示義務
(2) 試験データを含む国の定める所定のデータ提出義務
(3) 提出データに基づく国による暫定的な安全性評価と暫定的管理グレード(許可、制限、禁止)の設定