・2.3 会社の"ナノ隠し"
以前は製品にナノ技術を使用していることを謳うことは宣伝上効果があるとする考え方が一般的であり、コマーシャルでもそのような広告が目に付きましたが、消費者がナノ物質の安全性を懸念するようになった最近は、ナノ技術の使用がむしろ宣伝上マイナスである考えるのか、大手化粧品会社をはじめとして、ナノ技術を使用していることを隠す会社が増えています。
(1) EurActiv 2009年6月15日 [10]
2009年6月10日にブリュッセルで開催されたEU及びアメリカの消費者グループの会合で講演した専門家らによれば、現在ヨーロッパ市場にあるナノ物質を含む製品についての信頼性のある情報を見つけることはだんだん難しくなってきているとしています。
WWICS / PENの主席科学者アンドリュー・メイナードは、ナノテクノロジーを取り巻く議論が製造者にナノ物質についての記述を彼等の製品からはずさせるという結果をもたらしたと懸念しています。
ノルウェーの国立消費者調査研究所は、どのくらい多くの製品がナノテクノロジーを含んでいるか調べるために、ひとつの大きな国際的化粧品会社のウェブサイトを"ナノテクノロジー"及び"ナノ"のようなキーワードを使って検索したところ、2007年には29製品を見つけだしたが、最近同じやり方で再現してみたら、ヒット数はゼロであったと報告しています。
このことは、会社は現在では、"ナノ"は価値を加えるものというよりもマイナスのイメージとして見ているかもしれないと述べています。
イギリスの消費者団体ウイッチ?(Which?)は、67の化粧品会社の調査を行ったが、たったの8社からしか情報を得ることができず、回答した8社すべては日焼け止めでナノテクノオロジーを使用している回答したと報告しています。
(2) 米化学会ES&T 2007年11月14日 [11]
"虚偽表示ではない真正のナノ物質を含んだ製品が既に市場に出ているが、時にはそのことが表示されていない。消費者連盟によってテストされた全ての日焼け止め19種は、細胞中のDNAを損傷することができる活性酸素の生成を引き起こすことが示されている酸化亜鉛又は酸化チタンのナノ粒子を含んでいた。
これらのうち唯一 Keys Solar Rx だけがナノ粒子を含んでいることを表示していた"。
(3) FoE オーストラリア2009年11月 [12]
FoE au が委託したテストで化粧品会社10社中8社のコンシーラー、ファンデーションに100ナノメートル以下の粒子を含んでいたが、ナノを含んでいることを表示していたのは1社(Christian Dior)だけであった。