清涼飲料水に係る化学物質の食品健康影響評価:亜塩素酸2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・Ⅱ.安全に係る知見の概要
1.我が国における水質基準の見直しの際の評価(参照2)
亜塩素酸】,【二酸化塩素】
二酸化塩素は、水溶液中で急速に加水分解され亜塩素酸となるという性質から考えて、飲水投与実験により体内に取り込まれた後は、亜塩素酸としての毒性として現れると考えられる。

IARC は亜塩素酸をグループ3(ヒト発がん性ありに分類できない)として分類した(IARC,1991)。
亜塩素酸は、二世代試験においてSprague-Dawley ラット(用量毎、性毎に30 匹)に0、35、70、300 mg/L の亜塩素酸ナトリウムを飲水でF0世代の交配10週間前より投与された。投与群中離乳した最初の25 腹それぞれから25 匹の雄と雌がF1世代として選ばれ、F0世代と同じ投与が続けられF2世代を得た。

F0の亜塩素酸塩の用量は、雄で0、3.0、5.6、20.0mg/kg 体重/日、雌で0、3.8、7.5、28.6mg/kg 体重/日であった。

300 mg/L で児の生存数が減少し、出生時体重が減少し、F1とF2の授乳期を通して両世代で胸腺と脾臓の重量が減少し、F1とF2の雌雄の性的発育が遅延した。

雌F0と雌雄F1 での絶対・相対肝臓重量の有意な減少、F1 とF2 の絶対脳重量の減少、出生後60 日では生じなかった出世後24 日での聴覚驚愕刺激の最大反応の低下が300 及び70 mg/L 群で認められた。

聴覚驚愕振幅の低下、F1とF2での絶対脳重量の減少、二世代での肝臓重量の変化に基づき、NOAEL は35 mg/L(2.9 mg/kg 体重/日)と考えられた(CMA,1997;TERA,1998)。
同様の影響は、雌ラットに対して、二酸化塩素を0、2、20、100 ppm の濃度で交配2 週間前から離乳期まで、あるいは亜塩素酸を0、20、40 ppm の濃度で配10 日前から9 週間投与した実験で、次世代への神経行動学的影響を根拠に両試験でNOAEL 20 ppm(3 mg/kg 体重/日)が求められている(Orme ら1985;Mobley ら1990)。

ヒトにおいて、亜塩素酸の主要な毒性発現は赤血球細胞への酸化ダメージである。

男性ボランティアに単回経口投与した試験では、用量に依存した尿酸値の変化が認められたが、毒性学的意義はないと判断され、最高用量の0.34mg/kg 体重/日がNOAEL とされた。

別の試験では、12 週間の経口投与(飲料水)により、血中尿素窒素がわずかに変化したものの、他の血清生化学及び血球数等に変化はなく、NOAEL は36 μg/kg 体重/日とされた(Lubbers ら1981)。

二酸化塩素の臭味の閾値は0.4 mg/L である。
発がん性の証拠は認められないことより、TDI 法による評価値の算定が妥当であると考えられる。

NOAEL:2.9 mg/kg 体重/日に不確実係数:100(種差と固体差それぞれに10)を適用して、TDI は29μg/kg 体重/日と求められた。

この値は、ヒトにおけるNOAEL:36 μg/kg 体重/日によって支持される。二酸化塩素は浄水処理に直接使用されることを考慮し、TDI に占める飲料水の寄与率を80%とし、体重50kg のヒトが1 日2L 飲むと仮定すると、評価値は、0.6 mg/L と算定される。

わが国において、二酸化塩素及び亜塩素酸のヒトへの暴露が想定されるのは、基本的に二酸化塩素が浄水処理に使用される場合である。

したがって、水質管理目標設定項目とし、二酸化塩素が浄水処理に使用される場合の指針値として活用されるべきである。

なお、水質基準の設定等については、二酸化塩素の浄水過程での使用が進んだ段階において、検討すべきである。