・▼腸の働きを整え、発ガン物質も減らすラクトバチルス
人間の腸内には、便秘や下痢の原因となり、発がんを促す腐敗物質を作る悪玉菌が存在している。
そんな悪玉菌を減らす役割をするのが、キムチに多く含まれる“ラクトバチルス”という善玉の乳酸菌。
ラクトバチルスは腸の働きを整え、発がん物質を減らす作用が高い。また胃酸にも強く、生きたまま腸に届きやすい性質をもっている。
キムチのなかで乳酸菌の発酵が進んでいくと、それにつれてビタミンやミネラルなどの栄養素もどんどんと増えていく。
これらの栄養素の中でも特に注目されているのが、ギャバ(GABA)という名前で知られるγアミノ酪酸。
これは、乳酸菌の働きにより、たんぱく質が変化したものだ。
ギャバは発芽玄米に多く含まれていることで知られており、リラックス、血圧降下、中性脂肪減少、脳の血流改善といった優れた効果がある(関連記事:精神的ストレスに注目のアミノ酸“ギャバ”)。最近では、ギャバを多くつくる性質を持つ乳酸菌を活用し、生の発芽玄米の5倍近いギャバを含むというキムチも市販されている。
ちなみに、日本ではキムチといえばハクサイキムチばかりが有名だが、本場の韓国ではさまざまな種類のキムチがある。
キュウリを使った“オイキムチ”、大根を使った“カクテキ”のほか、“ネギキムチ”、“小松菜キムチ”、牡蠣を入れた“カキキムチ”、白菜に海老などの海鮮や栗を包んだ“ポッサムキムチ”などが代表的なものだ。
▼浅漬けより、賞味期限ギリギリほど栄養価が高い
乳酸菌の健康効果を実感するには、じっくりと自然熟成した“発酵キムチ”を選びたい。
実験によれば、キムチを漬け始めて3週間後に、含まれるビタミンB1、B2の量が最も多くなるという。
もちろん、乳酸菌やギャバの量も、発酵が進むにつれて増えていく。
そのため、キムチの健康効果を最大限に発揮するならば、浅漬けより熟成期に食べることをお勧めしたい。
十分に発酵したキムチを1日に200グラム食べれば、乳酸菌もビタミンも十分にとれる。
概して、和風キムチやしょうゆ漬けは、浅漬けのものが多い。
その場合は、冷蔵庫の中でじっくりと熟成させ、賞味期限ギリギリに食べるのがいい。
発酵キムチは、国産ならパッケージに「発酵キムチ」「発酵食品」と書いてあるので区別がつく。韓国産は一般的に熟成したものが多いが、なかでもキムチキャラクターの絵のついたものが、韓国政府が認めた発酵キムチ製品である。
キムチは時間がたつと酸っぱくなるが、これは発酵が進んでいる証拠なので、まったく心配はない。
賞味期限ギリギリでも十分においしく食べられる。